競争激化でコンビニ疲弊 オーナー時短提案も本部が拒否


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「休みたい。疲弊しきってる」と語るコンビニオーナー=12日、沖縄本島内のコンビニエンスストア

 コンビニエンスストア最大手セブン―イレブンの進出で、競争がより一層激化する県内のコンビニ業界。既存店のオーナーたちは24時間営業や慢性的な人手不足の問題を抱える中、「そもそもの働き方が問題。本部との契約やコンビニエンスストアを見直してくれないと体が持たない」と悲鳴を上げる。「まるで小作農だ」と訴えるオーナーもいる。

 「令和になれば働き方も変わると期待したんだけど。疲弊しきってるよ」。本島中部のあるオーナーは、寝不足で充血した目をこすりながらつぶやく。人手不足は深刻で、2人の店員がレジと品だしでせわしなく働く。「小さい子どもがいるが、家族がそろう時間がない。夫婦で店舗に出るため下の子の朝ご飯は長女が準備している」と話す。

 人手不足を背景に24時間営業の見直しを求めるオーナーは多い。客の出入りが少ない深夜にアルバイトを置くのは効率が悪いと感じている店舗もある。人件費を削るため、自ら夜通しで働くオーナーもいる。

 本島南部のオーナーは「深夜営業はオーナーからすると人件費がかかるだけ。でも本部にとっては一つでも商品が売れたら利益になるから、時短営業をさせてくれない」と話した。

 一方、24時間営業に肯定的な意見もある。ある店長は「深夜搬入の商品もあり、店の運営を考えると深夜も人がいる必要がある。店を開けた方が効率がいい部分もある」と話す。商品の管理上、冷蔵施設や空調は店を閉めている時間帯も稼働させる必要があるため「深夜でも一定数の客入りが見込める店舗では、24時間営業に賛成する声が多いだろう」と強調した。

 ある大手コンビニは時短営業をする場合、本部に支払うロイヤルティーと別に、売上金の数%を払う必要がある。南部のオーナーは「この数字は僕らにとってとても重い」と語る。

 県内で既存のコンビニ4店舗を経営するオーナーはアルバイトが足りず、店長と共に夜通し働く。従業員を守るため、「数%を払うから時短にしたい」と相談したが、本部は「セブン進出に一致団結するとき。今は駄目だ」と拒否された。

 別のオーナーは「本部にロイヤルティーとして売上総利益(売上高から商品の仕入価格を除いたもの)から50%を引かれる。そこから人件費やストロー、レジ袋、水道代などの雑費が引かれるので手元に残るのはわずかだ。従業員を社会保険に加入させてあげられず、福利厚生を整えられないので人も集まらない」と訴えた。 (石井恵理菜、外間愛也)