【沖縄】12日に死去した指定暴力団旭琉会の富永清会長の告別式に、桑江朝千夫沖縄市長を差出人とする弔電が送られていたことが19日までに分かった。私人ではない上に全市民を対象とする発送システムで形式的に送られた形だが、経費は公費で賄われている。識者は「反社会的勢力が市民と認められた形になる」と指摘している。
市は新聞の荼毘(だび)広告に掲載された全市民に弔電を送っているが内規などの定めはない。平日は職員が広告を確認し送付するが、休日は郵便局側が確認して発送する仕組みになっているという。市長が私人として送る場合には後援会が作業を行う。
富永会長の荼毘広告は15日付県内2紙に掲載され、同日告別式があった。市は弔電発送を17日に確認。担当者は「このようなケースは想定していなかった」と説明した。弔電や祝電などは担当課の通信運搬費として支出していて、弔電費用は592円だった。
発覚を受け、桑江市長は「故人を認識せずに送ったことについて、現在の仕組みを再検討する必要がある」とコメント。担当者は「市幹部を含め仕組みづくりを検討する」とした。
市は2012年4月に「市暴力団排除条例」を施行している。
市の認識の甘さ露呈 暴力団排除運動に詳しい疋田淳弁護士
暴力団排除条例をつくり、市民に反社会的勢力との関係を絶つよう促す立場であるにもかかわらず、暴力団に対する認識が甘いと言わざるを得ない。公費を使い、一律に市民へ送る仕組みを続けるならば、一般人とは区別する必要がある。これは差別とは違う。仕組みの見直しや公費を使うことの是非を市議会でしっかりと議論すべきだ。暴力団にとって葬儀は「義理がけ」と言い、組織の勢力を誇示する機会となっている。公人から弔電を送られたとなれば、反社会的勢力が市民の一人として認められた形になる。警察と連携を図って情報を共有し、適切な対応を取るべきだ。