【ドイツ】包装なくして環境に優しく 容器持参量り売りの店人気


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持参したタッパーに商品を入れる利用客(左)。グラム単価の同じ商品は混ぜて入れることもできる

 自然保護や環境への意識が高いドイツ。商品を個別包装するプラスチックをなくして販売することで、環境に優しい社会を目指す「包装のない」小売店が支持されている。都市部を中心に増え、この5年間で全国に100店以上が開店した。ドイツ最大の人口を抱えるノルトラインヴェストファーレン(NRW)州の州都デュッセルドルフ市(人口64万人)でも、この1年で3店オープンした。プラスチックに頼らない、極力減らす生活に変えようという意識が広がっている。

 市内3店目として、昨年末に開店したこの店舗はその名も「unverpackt(unpacked、包装なし)デュッセルドルフ」。近くに住宅地や大きな公園も多く、ディスカウントスーパーなども近いショッピング通りにある。

 タイ旅行中に見たプラスチックのあふれるごみにショックを受け、何ができるかと考えたビョルン・アーメントさんと、子どもが小さかった6年間主婦として暮らした後、何か意義のあることを始めたいと考えたエファ・ヴェンドルフさんが開店した。構想と準備に約1年かけ、クラウドファンディングも利用し資金の一部を賄った。

初めての来店客に商品や買い物の仕組みを説明するエファさん(右)

 最初は様子見で来る客も多いというが、常連客も増えている。社会見学で幼稚園や学校などの子どもたちのグループも多く受け入れ、店のコンセプトについて説明もしている。

 この店ではプラスチックの袋などに頼らない意識を持った生活への転換を提案。パスタや米、コーンフレークなどの穀物類や豆類、チョコレートやグミなどの菓子類のほか生活に必要な食料品、生活用品など約700品を扱っている。

 客は各自でタッパーやガラス瓶、袋などの入れ物を持参し、中身を入れる前に入れ物の重さを量って商品を入れ、レジでは総量から入れ物の重さを引いた分を支払う。瓶などの入れ物が余った場合に、必要な人のために入れておけるかごも店内に用意されてあり、客同士の助け合いによく利用されている。

 シャンプーやハンドソープなど液体洗剤、重曹やクエン酸なども量り売り。牛乳やヨーグルトなどの乳製品はデポジットの付いた瓶入りで、瓶を戻すとデポジット金は戻ってくる。

 同店のウエブサイトは、https://www.unverpacktduesseldorf.de

 (田中由希香通信員)