沖縄県と那覇市、浦添市、沖縄都市モノレールが2023年度にも運行開始を目指すゆいレールの3両編成化について、車両の製造を予定している日立製作所が同年度の供用開始に必須となる22年度までの新造車両の完成が困難だとの見通しを示していることが23日までに分かった。複数の関係者が明らかにした。海外からの受注が立て込んでいることなどが理由。3両化の運行開始は当初想定していた23年度から遅れ、24年度以降にずれ込む可能性が出てきた。
玉城デニー知事、城間幹子那覇市長、松本哲治浦添市長、沖縄都市モノレールの美里義雅社長は3両化の早期実現に向けて31日にも上京し、日立製作所本社に新造車両の22年度までの完成を要請する方向で調整している。
モノ社は1日当たり乗客数を30年度に7万5千人まで伸ばすことを目標にしている。車内の混雑に対応するため、23年度に先行して4編成で3両の運行を始め、30年度までに計9編成を3両化する方針。3両化にかかる総事業費を約280億円と概算している。費用負担案は国費補助が約179億円、県と那覇市、浦添市の補助が計約45億円、モノ社の負担が約56億円。ただ、車両の完成が見通せない中、費用負担に関する関係機関の予算措置にも影響が出てくる可能性がある。
日立製作所は本紙の取材に対し「(22年度までの完成は)物理的に厳しいと思うが、調整する」としている。同社は18年にパナマのモノレール事業を受注しており、22年度の完成を見込んでいる。モノ社も22年度に新造車両の完成を見込んでいるが、現時点で日立製作所に正式に発注しておらず、同年度までの完成は不透明だ。
モノ社は6月の株主総会で22年度末ごろに3両編成車両の導入を予定していることを正式に報告した。車両の完成後、システム試験や走行試験などに半年から1年程度を要することから、早ければ23年度にも3両編成の車両の運行を始める方針だった。
同社の資料によると、18年度の1日平均乗客数は5万2355人と目標の4万9千人を上回った。19年度は浦添延長開業後の10月以降で5万9千人、30年度には7万5千人の利用を見込んでいる。
(吉田早希、松堂秀樹)