全国のコンビニ各社で24時間営業の見直し議論が広がる中、県内325店舗を展開する沖縄ファミリーマートは現時点で時短営業の実験は予定していないことを説明した。セブン―イレブンの新規出店など全国と違った市場環境がある中で、ファミリーマート本体の対応とは別に沖縄独自の対策を講じていく構えだ。その上で「時短営業を求める加盟店には個別で対応する」とオーナーの時短要望に柔軟に対応する姿勢も示し、24時間営業の見直しはもはや沖縄でも避けられないという認識を持っている。
ファミリーマートは26日、全国の加盟店へのアンケートで全加盟店の約半数の7039店舗が「時短営業を検討したい」と回答したと発表。時短営業の実験店を大幅に拡大する方針を示した。一方で沖縄地域のエリア経営で独自の裁量が与えられるエリアフランチャイズ(AFC)契約を本体と結ぶ沖縄ファミマは、今回のアンケートには加わっていない。
■時短求める加盟店
ファミマに限らずローソンも含め、加盟店オーナーが人手不足から店舗運営に疲弊する実態は沖縄でも見られる。
琉球新報の独自の取材では、オーナーから「急な欠員があると店長やオーナーが出ないといけない。この働き方は持続可能ではなく、本当に疲弊しきっている」「求人をかけても人が集まらない。いつ倒れるか分からない状況で働いている」などの声が上がった。
ある店舗では時短営業を本部に相談したが、担当者から「セブンが来るから今は待ってほしい」と言われたことを取材に明かしたオーナーもいた。
国内シェア首位のセブン―イレブンが全国47都道府県の最後の進出地として沖縄の市場に参入し、今後5年で250店舗の設置を打ち出す。競争環境が厳しさを増す県内コンビニ業界は、来店者の流出を抑え、既存店舗の売り上げを死守することが経営の優先課題という状況がある。
しかし、沖縄進出で攻勢をかけるセブンにしても、全国的には加盟店オーナーの過酷な労働実態が明るみとなって社会問題化し、加盟店との対話を迫られている側だ。便利さをうたった24時間営業や大量出店という従来の戦略の見直しを余儀なくされている。
■営業モデルの変化
こうした業界を取り巻く環境の中で、沖縄ファミリーマートの担当者は「われわれも必ずしも24時間営業ありきという考え方ではない」と強調する。深夜の来店客が少ない郊外の店舗などではむしろ営業時間を短縮した方が良いといった判断をしていく可能性など今後の方向性を説明する。
これまでにも沖縄ファミマは採用難に悩む加盟店を支援するため、県内の飲食店やガソリンスタンドなどで優遇が受けられるスタッフ向けの福利厚生サービス「ファミンチュ」アプリの展開を開始や、ネパール語の字幕付求人CMの放映など、沖縄独自の対策を積極的に打ってきている。
それでも担当者は「郊外に行くほど外国人留学生もいなくて従業員の確保が厳しい」と指摘し、地域によって24時間営業が物理的に維持できなくなっていくとの認識を示す。
人手不足の深刻さは増し、働き方改革の法制化や世界的な環境負荷低減の潮流もある。競争激化と業界モデルの見直しというかつてない変化を二つ同時に迎え、県内コンビニ各社の対応が注目される。
(外間愛也、石井恵理菜)