【焦点】西原、県勢9年ぶり16強の立役者は?《南部九州総体2019》


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西原―聖カタリナ学園 第4Q、果敢に攻め込んで好機をつくる西原の知名祐里(中央)=29日、鹿児島県のサンアリーナせんだい(大城直也撮影)

 具志堅夏琳が3点弾を決めて、62―63の1点差となり、残りは16・1秒。西原が選んだファウルゲームの戦術と、知名祐里の機転が逆転勝利につながった。

 残りワンプレー程度の時間。聖カタリナ学園は時間を稼ごうとするが、攻撃機会を作るためチームファウル四つの西原が動き、知名がフリースロー成功率の低い選手にファウルを仕掛けた。引き離されれば最大3点差。しかし、知名の想定通りフリースローは2本とも外れた。応援団が歓声を上げた瞬間、西原が素早く反撃に転じる。素早いパス回しから、得点力のある知名が素早くドライブを仕掛けると相手はファウルでしか止められなかった。聖カタリナもチームファウル五つ目。知名のフリースローに託された。

 28日の試合では7本中3本しか決めることができなかった知名。それでも「自分が決めなきゃ負ける」と放ったボールは2本ともきれいな放物線を描き、リングへ吸い込まれた。

 逆転に成功した残り6・3秒。コート場の選手やベンチメンバーだけでなく観客も「ノーファウルだよ」と叫ぶ。一気に攻め込む相手エースに知名と具志堅がダブルチームで張り付くと、相手はタフなパスから拙速なシュートへ。ボールがリングにはじかれてブザーがなると観客は総立ちとなった。飛び上がる選手の中で、知名は両手で顔を押さえた。ベンチから飛び出して抱き合う選手らの目には光るものがあった。

 年代別日本代表である知名へは厳しいマークがつき、相手監督が日本代表の関係者ということもあり、動きを研究されていた。それでも攻守で活躍できたことに知名は「メンタル的にも大きく成長できた」と満足そうに語る。ウィンターカップのリベンジも果たし、目標の8強も目の前に迫った。「見ている人たちへの感謝のバスケットをしたい」。確かな手応えと反省を胸に、8強の壁を越えに行く。

 (屋嘉部長将)