那覇空港の貨物エリアに企業誘致 製造企業を想定し沖縄県が事業開始へ


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 沖縄県が推進する沖縄国際物流ハブ活用推進事業の一環で、精密機械など付加価値の高い航空貨物を取り扱う製造企業を那覇空港貨物ターミナルビル内に入居させる事業を県が開始する。全日本空輸(ANA)の国際貨物事業の減便に伴って那覇空港の貨物取扱量が減少しており、県は貨物基地を活用して新たな貨物の創出につなげる狙いがある。貨物輸送を取り扱う海外の航空会社3社程度を年度内に誘致する計画も立てており、県は既に複数社と接触している。

 那覇空港では国際線と国内線の旅客ターミナルビルを連結する増床工事が今年3月に完了し、貨物ターミナルを利用していた格安航空会社(LCC)が旅客ビルに移転した。このため貨物ビルでは約1万2千平方メートルの空きが生じており、県が空きスペースを借り上げて企業に提供する。

 対象は、航空輸送に適した貨物を取り扱う企業を想定しており、施設内で製造や検品、組み立て、梱包(こんぽう)を行うなど、県内で雇用や経済効果を生み出すことを条件とする。

 7月末から入居企業を公募しており、9月にも決定する。また、県が航空会社のコンテナを借り上げて企業に提供している事業のうち、従来、食品に限定して助成対象としてきた他府県発の貨物についても、8月から対象品目を拡充する。

 貨物ターミナルの入居企業公募と同様に、県内の雇用や経済効果を条件に、精密機械などの輸送にも活用できるようにする。

 2018年度の那覇空港国際貨物取扱量は前年度比33・3%減の12万174トンと大幅に減少した。

 県は新規の事業展開や新たな航空会社の誘致で巻き返しを図り、沖縄21世紀ビジョン基本計画で掲げる21年度の国際貨物取扱量40万トンの達成を目指す。