全虐待事案の情報共有 沖縄県警と県内児童相談所 対策拡充へ協定再締結


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全ての虐待事案について情報共有する協定を締結した大城玲子県子ども生活福祉部長(右)と小禄重信県警生活安全部長=16日、県庁

 児童虐待の未然防止へ連携強化を図ろうと、県子ども生活福祉部と県警生活安全部は16日、全ての児童虐待事案について情報共有する「児童虐待防止対策に関する協定書」を締結した。2007年に締結していたが、全国的に発生する児童虐待の重大事件や増加傾向にある県内の相談件数などを踏まえ、共有する情報を拡充し改めて結び直した。

 従来の協定は児童相談所(児相)が虐待と認知した案件のうち、身体的虐待で重症度が高い事案など14項目の基準を設け、該当する児童について県警に情報を提供していた。今回は項目を設定せず、児相が虐待として取り扱う事案全てを県警と情報共有する内容。これにより、県警が問題を抱える家庭を幅広く把握し、初動を迅速化できることが期待される。

 県内の18年度児童虐待相談対応件数は1100件で初めて千件を超えた。その中で通告など県警から児相への情報提供は762件、児相から県警への情報提供は56件で計818件を共有していた。今後は児相からの提供が増加し、共有数も増えることになる。

 県子ども生活福祉部の大城玲子部長は「情報共有の拡充で、よりいっそうの連携強化を図り、虐待の未然防止や児童の安全確保へ全力で取り組んでいきたい」と話した。県警生活安全部の小禄重信部長は「被害児童を適切に保護するため、きめ細かく迅速、的確な対応が図られることになる」と意義を語った。