全国世論の喚起、評価 「県民投票とその後」シンポジウム 関係者ら成果、課題を議論


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
県民投票とその後について意見を交わす登壇者ら=17日、那覇市職員厚生会館

 今年2月に行われた沖縄県民投票の成果や課題について意見を交わすシンポジウム「県民投票とその後~私たちは何をすべきか、何を求めるべきか」が17日、那覇市おもろまちの那覇市職員厚生会館で開かれた。「辺野古」県民投票の会代表の元山仁士郎氏らが登壇し、全国的な世論喚起の後押しになったことや20~30代の関心の高まりといった意義を話し合った。一方で県民投票の結果にかかわらず辺野古移設が進められる政治状況に引き続きどう向き合っていくか、法律家や報道記者も交えて討議した。

 シンポジウムは、辺野古移設問題の民主的解決を求めて全国1788地方議会への陳情提出などに取り組む「新しい提案」実行委員会が主催した。

 元山氏は県民投票について「全ての市町村で反対が上回ったのは、選挙からは見えてこなかった結果で、すごく重みのある意思が示された」と総括し、「一つの到達点」と評価した。

 県民投票後は全国で36回の講演を行い、東京の国立市や三鷹市に県民投票結果を尊重し辺野古新基地建設中止を求める陳情を行ったという。しかし、全国的な選挙で争点になり得ないことや国際的な連帯や訴えが不十分なことが課題とし、「沖縄の20代、30代の人たちともっと対話をしていきたい」と意欲を示した。

 「新しい提案」実行委員会責任者で、県民投票の会副代表も務めた安里長従氏は、辺野古問題の本質を「軍事的に沖縄でなくてもよいが、本土の理解が得られないという不合理な区分による、自由の格差という人権問題がある」と指摘。県民投票の結果が尊重されず辺野古移設が進められることは「民主主義の原則に反する」と強調した。

 普天間基地の閉鎖と県外・国外移設について国民的議論で決めることが必要だと訴え、現在、安里氏が主導する全国地方議会への陳情は「辺野古唯一」を崩す方策だとして、「新しい提案」による県民投票後の取り組みなどを説明した。

 辺野古を巡る訴訟の県側弁護団にも加わる加藤裕弁護士は、市町村長の事務拒否で全県実施が危ぶまれ、3択の議論が行われた経緯について「民主主義をするという意味で副次的に大きな作用をもたらした」と振り返った。県民投票結果に基づき、仲井真弘多元知事が行った辺野古埋め立て承認を再度、公益撤回すべきかや時期について聞かれると、「専門家の意見も分かれている。県の立場でない第三者の弁護士や行政法律家が意見をたたかわせ、説得力のある意見に集約していくことを地元2紙に求めたい」と述べた。