共につくる喜び 13校27人参加 初の演劇キャンプ


社会
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 那覇市銘苅の小劇場「アトリエ銘苅ベース」を運営する一般社団法人「おきなわ芸術文化の箱」は7~11日、同劇場で高校生対象の演劇サマーキャンプを初めて開催した。演劇をやりたくても学校によって演劇部がなかったり部員が少なかったりするため、学校の枠を超えて演劇に取り組み、意欲が高まるような機会をつくろうと企画された。県内13校から27人が参加し、「星の王子さま」(サンテグジュペリ作)を基に5日間で劇を作り上げた。

「星の王子さま」を基に演劇を作り、発表する高校生たち=11日、那覇市銘苅のアトリエ銘苅ベース

 県と県文化振興会の「沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業」の支援を受けて開催された。役者の福永武史さん、新垣七奈さん、当山彰一さんが講師を務めた。参加者は2チームに分かれ、それぞれ最終日に成果を発表した。

 「星の王子さま」は、砂漠に不時着した「ぼく」が他の星から来た王子に出会い、王子のこれまでの旅が語られるという粗筋。参加者は脚本と演出も自分たちで考えた。王子が出会う大人たちは人間のおかしさを浮かび上がらせ、王子とキツネらのやりとりは「友情とは何か」と考えさせた。

 「ぼく」を演じた大城幸恵さん(首里高1年)は発表後の振り返りで「何が正解か分からず毎日悩みながら、それでも駄目で…」と声を詰まらせ「みんなと一緒にここまで来られてうれしい」と話した。初めて演出に挑戦した勝馬瑠衣さん(同)は「自分の弱さと向き合った。見えないものにかける時間はとても大切だと思った」と強調した。

 高校生たちは初日は緊張していたが、次第に打ち解けて最終日には別れを惜しんでいた。うぬぼれ屋を演じた照喜名祐希さん(小禄高2年)は「みんなが自分を受け入れてくれてうれしかった」とほほ笑んだ。王子を演じた新垣翔さん(同)は「意見がぶつかりながらも一つの作品を作り上げたことは、大切な経験になった」と振り返った。

 おきなわ芸術文化の箱理事でもある講師の当山さんは「これを機に演劇部がなかった学校にも部ができたらいい。毎年続けたい」と手応えを感じていた。