きょう「防災の日」 沖縄県内、避難誘導看板に課題 設置増も場所不明瞭「認知高めて」


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避難誘導看板の認知度向上の必要性を訴える広告企画会社アウトスペース代表で防災士の外間宏さん=8月30日、宜野湾市伊佐

 9月1日は「防災の日」。災害時に避難場所や避難経路を絵文字「ピクトグラム」などで示す避難誘導看板が東日本大震災以降、沖縄県内でも広がりつつある。しかし設置場所が分かりにくかったり、多言語表示されていなかったりなどの課題がある。防災事業に携わる広告企画会社アウトスペース(宜野湾市)代表で防災士の外間宏さん(51)は「行政も含め看板の認知を高めないといけない」と指摘する。

 外間さんが2013~15年に県内各地で調査したところ、避難誘導看板が団地5階の高さに設置されて見づらかったり、黒色で夜に分かりにくかったりする看板があった。統一の様式はなく、設置する自治体によって異なるのが現状だ。

 内閣府は20年の東京五輪対応に向け16年3月、各県に看板のピクトグラム統一を促しているが、多言語表記などについては求めていない。県が観光客誘致を進める中、外間さんは「災害時、自治体は外国人観光客への対応ができるのか」と疑問を呈す。

 防災知識のない業者が看板を設置している自治体もあり、ピクトグラムの意味を正しく理解していない人もいるという。外間さんが設置に携わった宜野湾市は、17~18年度に一括交付金を活用し、自治会や自主防災組織などから聞き取りをして設置場所を決めた。現在は多言語表示や反射板対応の看板が74ある。

 外間さんは「県で様式を統一し、防災士などと連携して取り付けたほうがいい。小学校などで看板の意味を教えることも大事だ」と提言した。 (金良孝矢)

避難誘導看板のデザイン例(アウトスペース提供)