9月1日は「防災の日」。災害時に避難場所や避難経路を絵文字「ピクトグラム」などで示す避難誘導看板が東日本大震災以降、沖縄県内でも広がりつつある。しかし設置場所が分かりにくかったり、多言語表示されていなかったりなどの課題がある。防災事業に携わる広告企画会社アウトスペース(宜野湾市)代表で防災士の外間宏さん(51)は「行政も含め看板の認知を高めないといけない」と指摘する。
外間さんが2013~15年に県内各地で調査したところ、避難誘導看板が団地5階の高さに設置されて見づらかったり、黒色で夜に分かりにくかったりする看板があった。統一の様式はなく、設置する自治体によって異なるのが現状だ。
内閣府は20年の東京五輪対応に向け16年3月、各県に看板のピクトグラム統一を促しているが、多言語表記などについては求めていない。県が観光客誘致を進める中、外間さんは「災害時、自治体は外国人観光客への対応ができるのか」と疑問を呈す。
防災知識のない業者が看板を設置している自治体もあり、ピクトグラムの意味を正しく理解していない人もいるという。外間さんが設置に携わった宜野湾市は、17~18年度に一括交付金を活用し、自治会や自主防災組織などから聞き取りをして設置場所を決めた。現在は多言語表示や反射板対応の看板が74ある。
外間さんは「県で様式を統一し、防災士などと連携して取り付けたほうがいい。小学校などで看板の意味を教えることも大事だ」と提言した。 (金良孝矢)