〈14〉プール熱・はやり目 手洗いやマスクで予防を


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 ヘルパンギーナ、手足口病と共に三大夏風邪の一つに挙げられるプール熱は、アデノウイルス感染により発症します。夏場にプールで感染することが多かったためそう呼ばれていますが、実際にはプールは関係なく、せきや接触、便などで広がり、また夏場以外でも散発的に流行します。

 別名「咽頭結膜熱」といい、「咽頭=のど」と「結膜=目」の炎症を伴う高熱が特徴です。下痢や腹痛などの消化器症状や、耳の前や首のリンパ節が腫れることもあります。のどの痛みは時に唾液を飲み込めないほどです。また「はやり目」といわれる流行性角結膜炎もアデノウイルスによる感染症です。

 このアデノウイルスはA~Gの亜型に分けられ、さらに51種類以上の血清型があるなど非常に種類の多いウイルスです。また感染しても免疫がつきにくいため何度でも感染します。代表的なものとして3型、7型による肺炎・咽頭炎、8型、19型による流行性角結膜炎、11型による出血性ぼうこう炎、31型による胃腸炎などがあります。

 感染から発症までおよそ5~7日間で、発症前にも感染力があり、熱や目の充血が消退した後もしばらくはウイルスの排せつが続きます。出席停止期間は、咽頭結膜熱は「主要症状が消退した後2日を経過するまで」、流行性角結膜炎は「病状により学校医その他の医師が感染の恐れがないと認めるまで」と学校保健安全法に記されています。

 現場では解熱から2日間以上経過し、かつ目の充血が消えると登園許可を出すことが多いです。抗生剤は効果がありませんし、インフルエンザのようなウイルスの増殖を抑える薬も存在しません。

 感染拡大の対策には早めの診断・隔離も大事ですが、日頃から手洗い、タオルを共有しない、マスクの着用やせきエチケットを守るなどの習慣が重要です。
 (大城征、やえせ子どもクリニック 小児科)