CH53Eヘリ窓落下事故を巡って、防衛省が米側に同型機の飛行停止や自粛を求めていないことに関する根拠がはっきりしない。岩屋毅防衛相は先月30日の会見で、自粛を求めていない理由として「今般は被害が生じたという情報もない」ことを挙げたが、沖縄防衛局の田中利則局長は3日、社民党県連の抗議の場で「被害がなかったためではない。その都度の判断だ」と強く否定した。
岩屋氏は先月30日の会見で、2017年12月に宜野湾市立普天間第二小学校でCH53の7・7キロの窓が落下し、児童がけがをした事故について「極めて深刻で、小学校のグラウンドの中に相当重い物が落ちたということだったので、直ちに飛行の自粛を求めた」と当時の対応を説明した。その上で、飛行の自粛を求めるかどうかは「個々の事案に即し判断しなくてはいけない」と述べ、今回は被害の情報もなく飛行自粛は求めていないとした。
飛行停止や自粛を求めるかは事案によって判断するという点で岩屋氏と田中氏の説明は一致するが、被害の有無が根拠になるかどうかについては、齟齬(そご)が生じている。
謝花喜一郎副知事は3日、防衛省で原田憲治副大臣に対し、岩屋氏の会見発言を念頭に「(発生場所が)陸だから、海だからということではなく、落下すること自体が県民は不安だ」と指摘した。
原田氏は「大臣もそういうつもりでおっしゃったことではないだろうと思う。県民の思いはしっかり対応しないといけない」と語ったという。