糸満市喜屋武集落はことし、エイサーのない静かな旧盆だった。毎年開催していた「喜屋武エイサーの夕べ」は2016年にメンバーが集まらずに中止。OBが協力して17年に復活したものの、再び中止に追い込まれた。糸満市内では青年会に参加する若者が減り、会員不足に苦労しながらエイサーを継続する青年会も多い。
喜屋武青年会のエイサーは、1965年に旧与那城町の屋慶名青年会から伝わった踊りにアレンジを加えた。仲間堅二自治会長(60)もエイサーを踊った一人。当時は130人ほどで「南部のエイサーの先駆けだった」と振り返る。
14年にはOBも協力して50周年を祝ったが、今年の青年会は4人で中止。実行委員会を結成して「きゃん夏祭り2019」を開き、子どもエイサーに青年会の型を入れた。青年会OBで実行委員長の栄盛直也さん(41)は「エイサー復活を子どもたちに託したい」と話す。
◆角力大会の中止も
武富青年会で恒例だった旧盆の道ジュネーは18年から人数が足りず、公民館前でのエイサーになった。
5月の角力大会は青年会の人数不足で中止。7月時点の会員は5人ほどで、エイサー中止の話もあったが、OBらの協力を得て約30人にまで増えた。青年会部長の長嶺龍秀さん(27)は「昔は地域全体で動いていたが、意識が薄れている」と語る。
ことし40周年の大里青年会のエイサー。年々会員が減り18年まで5年間、男性の加入はゼロ。会長の上原大樹さん(26)は「エイサーを見て興味を持ってほしい」と、きいやま商店のライブとのコラボなどさまざまな取り組みをする。
西崎青年会のエイサーは、西崎地区内外から参加する。現在30人で、中城村からの参加も。代表の今村大貴さん(39)は「長くやっていけるようにゆっくり人数を増やしたい」と話す。
◆魅力ある会へ
存続の危機を乗り越えたのが米須青年会だ。17年に会員が5人まで減り、エイサー開催が危ぶまれた。青年会やOBらは練習時間の短縮など知恵を絞った。
ことしは高校生を含め約15人が加入した。会長の福元柚希さん(24)のモットーは「楽しい青年会」。部活とエイサーを両立できるよう時間も調整した。
福元さんは「先輩たちとの交流で社会性が身についた。学ぶことも多い」と青年会の良さを強調する。
市青年団協議会は大里、武富、西崎が加入。近年、大度や座波は休会する。
同協議会会長で西崎青年会OBの大城英理さん(34)は青年会に参加しない若者について、バイトやゲームなど選択肢が多いと推測する。「『楽しそう』と思える魅力ある青年会づくりをしないといけない。試行錯誤しながら頑張りたい」と抱負を語った。
(川嵜紋通信員、豊浜由紀子)