【記者解説】静観姿勢から一転、旗振り役に 県が韓国客誘客に動くわけとは…


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 韓国から沖縄を訪れる観光客がピークとなる冬場に向けて航空路線が大幅減となるほか、韓国球団の沖縄キャンプ中止にまで日韓関係悪化の影響が広がっている。これまで県やコンベンションビューロー(OCVB)には政治問題だけに対策が打ちにくいとして静観姿勢が強かったが、県内観光業界などの不安が深まっていることを受け、民間交流の積極的な旗振り役へと転換した形だ。

 7月に日本政府が韓国向けの輸出規制強化を発表したことで、韓国では訪日旅行のキャンセルが続発。沖縄路線でも減便や運休の発表が相次いだ。だがOCVBとしての対応は、8月の観光月間のイベントの一環として那覇空港で外国人客全体に県産黒糖を配るなどの歓迎イベントの開催にとどまっていた。

 こうした中で玉城デニー知事は今月に入り「経済の面のみならず文化、スポーツの交流まで萎縮し、各方面に損失が広がる」と現状に懸念を示し、沖縄からの声明を日本語と韓国語で発表した。OCVBの下地芳郎会長は「沖縄側からアクションを起こす段階に入った」と話し、9月下旬からソウルでの商談会や訪韓ツアーなど交流促進に向けた緊急対策に動き出す。

 日韓関係悪化の前から、沖縄を訪れる韓国人客は前年実績を下回る傾向があった。OCVBは今回の対策がうまくいけば、韓国の航空会社や旅行社と協力して冬場の需要喚起も見据える。那覇空港第2滑走路が完成して海外との航空ネットワークの拡充を進める県の戦略上も、運休・減便する路線に早期復活の見通しを付けることが中長期の展望を描く上で重要となる。
 (中村優希)