辺野古検証 米議会に要求 国防権限法案 県内外33団体が声明


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 米国の国防予算の大枠を定める国防権限法案の上院案に在沖海兵隊移転の再調査の必要性が盛り込まれ、法案の一本化に向け上下両院の議員による協議が実施される件で、県内外の平和団体など33の市民団体が13日、「辺野古新基地建設の再検証につながる可能性がある」として、上下両院の軍事委員長ら有力議員に上院案を支持する声明を提出した。

 玉城デニー知事は国防権限法案を念頭に10月にも訪米する方向で調整しており、移設反対の声を米議会に届けることで在沖海兵隊移転の再調査を法制化させたい考えだ。

 市民団体などに声明に賛同する署名を呼び掛けたのはジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹氏だ。吉川氏は「米連邦議会で法案が決定される過程で、何も言わなければ地元の声が軽視される恐れがある。問題点を明確にし、上下両院の軍事委員会で辺野古新基地建設を検証できるように働き掛けることが重要だ」としている。

 声明では(1)辺野古新基地建設に反対する沖縄の民主主義の声(2)大浦湾は環境保全に重要な場所(3)軟弱地盤に係る工事の問題(4)埋め立て承認を巡る訴訟(5)国際社会とアジア・太平洋地域の国々の目―の5項目を挙げた。その上で「沖縄にとって辺野古新基地建設はさらなる基地負担であるばかりでなく、沖縄の民主主義の声や懸念に対する日本政府の圧政的態度を象徴するものだ」と訴えている。

 2020会計年度の国防権限法案は6、7月、米連邦議会の上下両院でそれぞれ可決された。上院案には「在沖米軍などの展開計画を再調査すべきだ」との要求が盛り込まれたが、下院案に沖縄への記述はない。今後、両院は協議して最終案をまとめる方針。上院案は「沖縄、グアム、ハワイ、オーストラリアなどの米軍の展開計画を再調査すべきだ」「沖縄の海兵隊を削減するのは急務」などとし、地元住民の支持や計画の総事業費などを調べるよう米国防長官に求めている。今後、上下両院で協議して一本化した後、大統領が署名して成立する。