住民影響配慮せず 本部港使用通告 米軍、今後も入港の可能性


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 米海兵隊が米軍船舶を17、21日の両日、本部港に入港させると県側に通告した。米軍は2007年に与那国町の祖納港、09年に石垣市の石垣港などに海軍掃海艦を入港させた。当時は「乗組員の休養と友好親善」などを理由に掲げていたが、水深を調査するなど、実質は有事に備え、使用できる港を調査することが主目的だった。今回は「訓練のため」と目的を伏せることなく県に伝えており、住民への配慮より軍事が優先であるとの米軍の姿勢がより前面に出た格好だ。

 伊江島補助飛行場での訓練を巡っては、16年に米陸軍の揚陸艇が複数回伊江港に入港している。伊江村は自粛を求めたが、陸軍と合同訓練を実施した米海兵隊は「一斉訓練の一環で、港利用の固定化を図るものではない」と説明し、要請を退けた。

 日米両政府は1996年に読谷補助飛行場で実施されていたパラシュート降下訓練を伊江島に移転することに合意した。2018年には強襲揚陸艦の飛行甲板を模した着陸帯「LDHデッキ」が伊江島補助飛行場に完成した。伊江島は米軍機の飛来による騒音被害が相次ぐなど訓練が激化している。“軍事の島”になりつつある伊江島に船舶などを向かわせるため、米軍は日米地位協定を根拠に今後も本部港への入港を通告してくる可能性が高い。

 本部港への入港は住民生活や本部―伊江島を結ぶフェリーの運航などに影響を及ぼしかねないことから、県は今後も民間港湾の使用の自粛を求めていく方針だ。
 (松堂秀樹)