米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが2012年10月1日、米軍普天間飛行場に配備された。12年9月9日に超党派で開かれた県民大会で配備反対の民意が示されたにかかわらず、配備が強行されたことに憤りが広がった。県議会や県内全41市町村長らが要請団をつくり、上京することが決まった。12年11月の那覇市長選で当選し、4期目に入った翁長雄志も反対の声を上げ続けた。
雄志は12年12月の市議会定例会で、配備撤回を求める那覇市民大会を開くことを明らかにした。「全県的な反対運動を持続的な取り組みにすることが重要だ。大会で那覇市民の強い意思を示し、41市町村長による共同要請の一助になる意義深い大会にしたい」と述べた。
12年12月16日には衆院選もあったが、在沖米軍基地に関する問題は全国的な争点にならなかった。雄志は市議会で「沖縄の視点に立ってその意義を考えると、惨憺(さんたん)たる思いがする」「国政レベルでは、地域の声の受け皿としての政党政治は限界を露呈している」と指摘した。
衆院選は自民党が圧勝した。総裁の安倍晋三は12年12月21日、記者会見で普天間飛行場の辺野古移設に「地元の理解を求める」と表明した。雄志は「来月上京し、安倍新首相に要請をしようという矢先に辺野古移設の話をするのは残念だ」と取材に答えた。オスプレイ配備と辺野古移設問題は関連しているとして「オスプレイを安倍氏の地元・山口県で受け入れてほしい」と述べた。
オスプレイの配備撤回を求める市民大会は13年1月22日、那覇市民会館で開かれた。県民大会の那覇市実行委員会が主催し、約1300人(主催者発表)が参加した。
雄志は主催者を代表して登壇し、10万人余が集まった前年9月の県民大会の3週間後にオスプレイが配備されたことに「私たちの気持ちは一体何だったのか。これだけ結束して訴えても、日本政府は一顧だにしない」と批判した。さらに「沖縄に基地負担を押し付けて日本は高度経済成長を謳歌(おうか)した。今後も沖縄に押し付けて日本の発展を考えるのは理不尽だ」と述べた。
那覇市議会議長の永山盛廣も、市議会が4回にわたり配備反対を決議したことを踏まえ「市民・県民を愚弄(ぐろう)した現状を決して見逃せない」と述べた。
大会決議文は強行配備について「(沖縄に対する)『差別・いじめ』とも言え、決して見過ごせない」と訴えた。大会終了後、雄志は「拍手が鳴りやまず、配備撤回への気持ちが強く伝わった。より大きな声で日本中に私たちの思いを伝えることにつながる」と語っている。
(敬称略)
(宮城隆尋)