月に10冊近くの本を買い込み、琉球新報など2紙を毎日熟読する。那覇市の上原博さん(86)は脳梗塞を患い、言語障害がありながらも「頭がしっかりするように」と本や新聞を熟読する日々を続けている。孫と一緒に店に出掛けて選ぶという本は日本や沖縄の歴史、政治、経済など幅広い分野に及ぶ。「知りたいことも学べるし、リハビリにもなる。一生勉強だ」と多くの本に囲まれ、充実した表情で語った。
上原さんは県立久米島高校の校長を務め、定年で退職。退職後は地域活動に積極的に取り組んでいたが、2014年に脳梗塞を患い、その後、言語障害が残っている。今も週2回は通院しているが、合間を縫って、本や新聞を読み込んでいるという。
管理職になる前は社会科の教員だった上原さんは「幅広い勉強をしていかないと教員は務まらなかったからね」と振り返る。本を読む冊数は現役時代も、現在もほとんど変わらない。
妻の美智子さん(85)は「(上原さんは)寝る間を惜しむくらい、何か疑問があると本を買いに行って読んでいる。今が青春ですよ」と笑みをこぼす。同じ教員同士で結婚して60年。言語障害からの回復を目指し、美智子さんに支えられながら上原さんは今日も本のページをめくる。
(池田哲平)