「沖縄にできて、なぜ台湾にはできないのか」。そういう問題意識を投げかけた番組が2018年、台湾の公共テレビで放送された。台湾から沖縄を訪れた子どもたちが口々に「公園がたのしい」と声をそろえる、その秘密を探った番組だ。
わたしのファミリーに限らず、親子連れで沖縄を訪れる台湾人観光客は多い。子どもはなかなかじっとしてはいないし、遊び疲れるまで遊ばせて体力を消耗させなければ、食事や寝かしつけにも苦労する。だから、子どもを連れて行くなら「近くて衛生的で、子どもが夢中で遊べる場所」が旅先選びのかぎとなる。台湾から飛行機で1時間あまりの沖縄は、まさに打ってつけの場所なのだ。
しかも児童公園の遊具が実に良い。安全性が高いばかりでなく、心躍る彩りで、複雑にからみあった巨大遊具は子どもの好奇心を刺激し、遊びを通して危険に対する意識も身につけさせられる。
2018年に沖縄県が行った調査では、浦添大公園がちゅら海水族館や首里城公園に並び、最も魅力的な観光地トップ10にランクイン。今では道の駅「ぎのざ」に敷設された児童公園や中城公園、西崎親水公園など多くの公園が知られるようになった。しかもこれが公共施設で無料だというのが台湾では考えられない。
沖縄に習い台湾にも公立の児童公園が増え、子どもの成育環境は改善されつつある。児童公園は当然、観光資源の創生や国際交流のために作られたものではないが、思わぬ形で沖縄と台湾をつないでくれている。
(口述・沖縄彭大家族・彭國豪、翻訳と構成・渡邉ゆきこ)