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人道危機 長期化 ガザ戦闘3カ月 死者2万2722人、避難190万人


人道危機 長期化 ガザ戦闘3カ月 死者2万2722人、避難190万人 ガザ地区を巡る状況、イスラエル軍の制圧エリア、進軍エリア
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 【エルサレム共同=吉田昌樹】パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まって7日で3カ月。イスラエル軍はハマス壊滅と人質奪還を掲げ年内はガザで作戦を続ける構えで、さらなる長期化が確実だ。2万2千人を超えた死者の一層の増加は不可避で、人道危機も深刻。レバノン国境での交戦激化など中東地域で紛争が拡大しつつあり、国際社会の懸念が強まっている。
 イスラエル軍は6日もガザで攻撃を続けた。長期戦を見据え予備役の一部撤収を発表したが、ハマス指導部が潜伏するとみるガザ南部や、中部で地上侵攻を強化。軍報道官は5日夜、今年は「戦闘の年になる」と語った。ハマスもゲリラ戦で対抗。カタールなどが仲介する停戦や人質解放の交渉は進展が見られない。
 戦闘は昨年10月のハマスのイスラエル奇襲を契機に開始。ハマスは130人以上の人質を依然拘束する。ガザ保健当局は6日、戦闘のガザ側死者が2万2722人になったと発表。1日で122人増えた。
 ガザでは人口の9割近い約190万人が避難民となったが、イスラエルの封鎖で食料や医薬品が不足。人道支援物資搬入は滞り、病気のまん延も危惧される。
 ガザの「戦後統治」を巡る議論も起きている。イスラエルのネタニヤフ首相は2005年に完全撤退したガザの再占領を示唆、後ろ盾の米国は反対する。
 イスラエル軍は昨年10月以降、隣国レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとも国境地帯で連日交戦し、6日も続いた。2日にはレバノンの首都ベイルートで、ハマス政治部門幹部らがイスラエルによるとみられる無人機攻撃で殺害された。イスラエルのガラント国防相は5日、本格的な戦線拡大を辞さない考えを表明。ヒズボラ指導者ナスララ師もイスラエルへの報復を警告し、緊張が高まっている。
 イスラエル軍はヨルダン川西岸でもパレスチナ武装勢力への軍事作戦を強化した。紅海ではイエメンの親イラン武装組織フーシ派がイスラエル関連船舶をたびたび攻撃。シリアでも親イラン勢力を狙ったイスラエルの空爆が続いている。