有料

中国機接近 昨年1700機 台湾 総統選前、控える動きも


中国機接近 昨年1700機 台湾 総統選前、控える動きも 台湾近くで展開する中国軍用機数
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【台北共同】昨年台湾近くで展開した中国軍用機数は、米下院議長の訪台を受けて大幅に増えた2022年と同規模の延べ1700機余りに上った。対中融和路線の最大野党、国民党側は13日の総統選で勝利すれば中国側に改善を要求すると主張。ただ専門家からは総統選の結果にかかわらず中国軍の台湾への圧力は続くとの見方を示した。
 台湾国防部(国防省)発表のデータを集計すると、台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線を越えたり、防空識別圏に進入したりした中国軍機は21年は千機に満たなかった。だが22年8月のペロシ米下院議長(当時)の訪台に反発した中国は同月だけで400機超を投入、通年で延べ1732機に急増した。23年も活発な活動を維持していることをデータが裏付けた。
 国民党の副総統候補、趙少康・元立法委員(国会議員)は当選すれば中国側とのパイプを通じて軍事活動をやめるよう求めるとアピール、支持拡大につなげたい構えだ。
 台湾政府系シンクタンク、国防安全研究院の洪子傑副研究員は、昨年は台湾東側の海上で中国軍の対潜ヘリが飛行したり、無人機が台湾本島を周回したりする活動が目立ったと指摘、偵察や電子戦のための情報収集の可能性があるという。艦船と軍用機との連携訓練も増えている。
 一方、昨年末の中国軍用機の活動は減少した。総統選を前に、選挙介入との批判を受けないよう軍事的威嚇を一時的に控えている可能性がある。