ニュージーランドで活躍するウチナーチュの公認会計士がいる。那覇市出身の松堂英斗さん(42)だ。日本税理士会連合会が10月18日に開催した学術発表会では、沖縄税理士会が発表する消費税制度の論文で、世界でも先進的とされるニュージーランドの消費税制との比較で協力した。発表会にも共に登壇し、故郷沖縄とのコラボレーションが実現した。
松堂さんは那覇高校を卒業後、ニュージーランドに渡った。オークランド大でビジネスを専攻した後、3年の実務経験を経て13年前に公認会計士となり、現在は現地で事務所を構えている。つてを頼り沖縄から留学やビジネスの相談があった場合は、ボランティアでサポートしているという。
沖縄税理士会は昨年9月、今年の研究討論会に向けたテーマを消費税制度の国際比較に決定した。先進的とされるニュージーランドの制度をインターネットで調べていたところ、たまたま松堂さんの存在に行き当たった。11月に連絡を取り、松堂さんが協力を快諾した。ビデオ会議などを活用して毎週土曜に勉強会を重ね、163ページにわたる論文を仕上げた。
沖縄税理士会の井上むつき調査研究部長や松堂さんによると、ヨーロッパや日本の消費税制は課税免除などの仕組みが複雑で多岐にわたるため、解釈によって課税額が大きく変わり、これに伴う訴訟も起きている。これに対してニュージーランドの消費税制はシンプルなため、一般の人が自分で申告できるほどトラブルが少ないという。
今回の論文は簡易で公平な税制の構築など5点を提言した。
松堂さんは「比較のために日本の消費税制を学ぶのは大変だったが楽しかった。県人のつながりを大切にしてきた。沖縄税理士会に声をかけてもらえてうれしかった」と話す。県出身者からの留学やビジネスの相談も受け付けるという。連絡先はhideto@toroma.co.nz