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世界最高齢のスピードスケーターに ギネス認定された 丸まる茂も 伊い一いちさん 94歳「滑れさえすれば記録」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 93歳と282日で世界最高齢のスピードスケーターとしてギネス世界記録に認定された。88歳、92歳の時に続き3度目の記録樹立。「成功すればギネス、失敗すればギプス」。冗談を交えて笑いつつ「無理をしないことが肝心」と自宅や近所の草取りで体力を養い、来年の大会出場を目指す。
 冬の寒さが厳しい長野県茅野市出身で、幼い頃はげたに鉄の板を付け、水を張って凍らせた田んぼや湖の上を滑った。地元で1番になったこともあり、生活に密着したスケートが好きだった。
 農業の傍ら茅野市議を12年務め、国際スケートセンター開設に尽力した。還暦後も「地域への恩返し」で地区大会に出場。85歳の時「その年齢で出場したら金メダルが取れるよ」と友人に言われて出た競技会では他に参加者がおらず、一人で2種目を滑りきった。
 国際大会にも挑戦し、88歳と337日、92歳と314日でそれぞれギネス認定。「ライバルはいないから、滑れさえすれば記録になる」。青森県で今年1月に開かれた全日本マスターズ競技会で500メートルと1000メートルに出場し、最高齢記録を塗り替えた。
 短歌が趣味で、短歌誌「ヒムロ」の編集発起人を務める。スケートの国際大会の懇親会では、太平洋戦争で特攻隊を志願したが身長が足りず終戦を迎えた記憶が浮かび、世界平和を願う歌を披露した。
 大会では応援されたり写真撮影を求められたりすることも多い。「人との出会い」を楽しみながら滑り続ける。94歳。