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ジャニーズ性加害 いびつな蜜月 変わるか メディア、芸能界に忖度


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による性加害問題で、新社長の東山紀之氏らは、テレビ局などメディアとの距離感について言及した。いびつな蜜月関係が続いた芸能界とメディアとの在り方が変わるきっかけになるかどうか注目される。
 7日の記者会見で東山氏は「喜多川氏、事務所全てが悪いと思う」。性加害を巡るメディアの「忖度(そんたく)」の存在を問われ、厳しい表情で答えた。日本でほとんど報じられていなかった問題を英BBCが放送して約半年が経過していた。
 「マスメディアの沈黙」―。外部専門家の再発防止特別チームは8月公表の調査報告書で、テレビや雑誌などが所属タレントの出演や掲載をさせてもらえなくなると危惧し、性加害問題の報道を控えた状況があったと考えられるとした。
 2019年には、アイドルグループ「SMAP」の解散後、同事務所を退所した元メンバーを出演させないよう民放テレビ局などに圧力をかけた疑いがあるとして、公正取引委員会が事務所を注意したことが明らかに。
 会見では、他事務所のタレントらの番組出演を巡る忖度や圧力もただされ、東山氏は「公平にいくべきだと僕自身も思っている」と応じた。同席した関連会社「ジャニーズアイランド」社長でタレントの井ノ原快彦氏は「忖度は日本にはびこっている。これをなくすのは本当に大変。皆で考える問題なので協力してほしい」とメディア側の意識変革も呼びかけた。
 会見後、NHKや民放各局は「メディアの役割を十分に果たしていなかった」「メディアの姿勢も問われる」など相次ぎコメントを発表した。
 翌8日、各局は朝の情報番組で会見の内容を報じた。テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」に出演した玉川徹さんは「(今回の報道は)BBCがきっかけだった。テレビは恥じなければならない」と発言。被害を訴えた元ジャニーズJr.の橋田康さんは、日本テレビの「DayDa〓」で「報道のプロとして、しっかり仕事を全うしてくださることが、事務所とメディアの再出発につながる」などと語った。
 同志社女子大の影山貴彦教授(メディア論)は「ジャニーズ事務所に限らず芸能界とメディアの間では忖度が起こり得る」と指摘。「各局が検証番組を作るなどして、しっかりと振り返る必要がある。そうして初めて、芸能界とテレビ局の関係が健全化するだろう」
東京都内で開かれたジャニーズ事務所の記者会見=7日