カンヌ、ベルリンの両国際映画祭や米アカデミー賞などの映画賞を獲得した若き名匠が、第80回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)に輝いた。快挙だが「すごいと思いつつ、さして何も変わっていない」と至って落ち着いている。
「映画は個人では賄えない予算で作られているので、評価は気になる。一方で、今のところたどり着いている結論は、自分の価値基準に基づいて映画を作れば、そんなに悪い結果にはならないらしいということ。許される限りは、そういう映画を作っていきたい」
川崎市生まれの44歳。東京芸術大大学院で映画作りを学び、商業主義とは一線を画す独立系の作品により国際映画祭で評価を得て、存在感を高めてきた。「映画を見ていて驚くのは、現実と同じくらいの強度、もしくはそれ以上の強度を持って迫ってくること。そういうものを自分も作ることができれば」と語る。
一作ごとに挑戦を続けてきた。銀獅子賞を受賞した「悪は存在しない」は、音楽家石橋英子さんからライブパフォーマンス用の映像制作を依頼されたのがきっかけ。音楽を前提にどんな映像にするか考えることになり、普段と考え方の順番を変えることがいいトレーニングになるのではないかと思ったという。結果、映像と音楽が「翻訳し合う」ような作品になった。
次作以降は「もっと根本的な動きやアクションを取り入れたい」と話す。「人生の時間は限られている。つまらないものには関わらず、面白いと思うものを作りたい」 (写真はロイター=共同)
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第80回ベネチア国際映画祭で 銀獅子賞を受賞した 濱はま口ぐち 竜りゅう介すけさん 面白いと思うものを
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琉球新報朝刊
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