有料

意識の隔たり埋めたい/札幌でLGBTQイベント/実行委の如月ららさん


意識の隔たり埋めたい/札幌でLGBTQイベント/実行委の如月ららさん 「さっぽろレインボープライド」実行委員の如月ららさん=16日午後、札幌市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 LGBTQなど性的少数者への理解を広めるイベント「さっぽろレインボープライド」が16日、札幌市で始まった。企業や団体が食品やグッズを販売するブースが並び、17日にはパレードも行われる。実行委員で、自認する性が出生時の性別と異なるトランスジェンダーの如月(きさらぎ)ららさん(58)は「社会との意識の隔たりを少しでも埋められたら」と期待を込める。
 男性として生まれた如月さん。幼い頃から好きな物や自身の振る舞いに「他の男の子と違う」と感じてきた。違和感の正体は分からず、女性と結婚もしたが時折心がゆらぐ感覚は消えなかった。勇気を出して化粧品を購入し、メークをした瞬間「これが自分なんじゃないか」とふに落ちた。
 女性として生きたいと思う一方、人に気付かれてはいけないと隠し続けた。2年前、結婚相手(59)にカミングアウト。当初は「気持ちがついていかない」と一緒に出歩くことも拒まれたが、半年以上かけて会話を重ね、今では洋服を一緒に買う間柄になった。
 今年6月、勤めていた会社を早期退職。送別会では紺色のドレスを着て、同僚らに自身の性について伝えた。「私はトランスジェンダーです」「本当の自分で(辞めてからも)会いたかった」。思いをつづったスケッチブックを無言でめくりながら、一人一人と目を合わせると、最後に会場から拍手が湧き起こった。
 少しずつ自分らしく生きられるようになり、大切なのは人々の意識だと感じている。「誰もが弱い立場や少数者になり得る。互いを受け入れる気持ちがあれば、手助けや気遣いができるんじゃないかな」とほほ笑んだ。
(共同通信)