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安倍晋三元首相の国葬当日を 記録した映画「国葬の日」を監督した 大おお島しま 新あらたさん 日本人の在り方問う


安倍晋三元首相の国葬当日を 記録した映画「国葬の日」を監督した 大おお島しま 新あらたさん 日本人の在り方問う 安倍晋三元首相の国葬当日を記録した映画「国葬の日」を監督した大島新さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 映画を作ると決めたのは昨年9月24日、国葬の3日前だった。
 「私は国葬に反対でしたが、それを訴えるための映画ではありません。全国各地で撮影した当日の映像を通し、日本人の在り方を浮かび上がらせたいと思ったんです」
 テレビ局のディレクターを経て独立。ドキュメンタリー映画の監督、プロデューサーとして活躍中だ。国政選挙に挑む政治家や家族に密着した「なぜ君は総理大臣になれないのか」「香川1区」は大きな話題になった。
 「2作を作る過程で多くの有権者に取材し、日本人は少数派でいることが本当に嫌なんだな、と痛感しました。国葬直前の世論調査は反対と賛成が6対4でしたが、確固たる意見の持ち主は少ないと想像していました。それを確かめたいというのも企画の理由でした」
 銃撃現場の奈良市、安倍氏の地元の山口県下関市、沖縄県の辺野古など10カ所の撮影地点を選定し、自らは東京を担当。趣旨に賛同したディレクターらが各地に飛び、国葬当日の出来事や人々の声を記録した。
 「編集しながら、予想以上に、ふわっとした考えの人が多いのが分かりました。個が弱く、いつも周囲の目を気にしている。日本人の横並び意識の強さにたじろぎましたが、変えられないと諦めるのではなく、この映画が議論の材料になることを願っています」
 父親は映画監督の故大島渚さん。「父も日本人とは何かにこだわった映画作家でしたが、特に意識していません」。神奈川県出身。54歳。