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二刀流続行へ決断 大谷右肘手術 前回と別方式か 多投 疲労 補強


二刀流続行へ決断 大谷右肘手術 前回と別方式か 多投 疲労 補強 3月、WBC決勝の米国戦で9回に登板した大谷翔平 =米マイアミ
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 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(29)が19日、靱帯(じんたい)を損傷した右肘の2度目の手術に踏み切った。復帰してまだ3年余りだが、米国では複数回の手術から復活した例も少なくない。投打「二刀流」を長期的に続けることを目指した決断で、方式も前回受けた従来の靱帯再建手術とは異なるとみられる。 (13面に関連)
 日本が制した3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝。九回に登板した大谷が最後に決め球としたのが、横に大きく曲がる「スイーパー」だった。投球に占める割合は昨季が37・4%、今季も35・1%。大谷は2季連続でこの球種を最も多く投じ、今季は昨季より平均約5センチ大きく曲げていた。ねじりを加えて投げる球で、肘に負担がかかりやすいとの見方がある。
 大谷は直球の今季の平均球速が約156キロとメジャーの先発でトップクラス。昨季途中からは登板間隔を1日縮め、原則中5日で投げるようになった。WBCから全力投球を続け、試合日の休養は5月2日が最後と出ずっぱり。慶友整形外科病院(群馬県館林市)の古島弘三医師は「あれだけの球速と高速の変化球で肘に負担がかかり、疲労の蓄積が回復しないまま投げていたのだろう」と分析した。
 手術の詳細は明らかにされていないが、声明の中で、1回目に続いて手術を担当した執刀医は「プランとしては当面の問題を修復し、肘が長持ちするよう生体組織を移植して健康な靱帯を補強すること」と説明した。
 米メディアでは、従来の再建手術ではなく、補強材で患部の修復と強化を図る「インターナル・ブレース」と呼ばれる方式が取りざたされている。全国紙USAトゥデー(電子版)は「より早期の復帰が可能で、打者に人気がある」と説明した。他に両者を組み合わせたような「ハイブリッド手術」も候補に挙がる。
 8月23日に損傷が判明して以降、大谷は多くのセカンドオピニオンを求め、治療法の選択に時間をかけた。リスクもあるが、2度目の手術から2018年に復帰後、計40勝を挙げたレンジャーズのイオバルディら復活例も多くある。(ロサンゼルス共同=益吉数正)
3月、WBC決勝の米国戦で9回に登板した大谷翔平 =米マイアミ