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「原発や基地・・・個別の政策を信任したつもりはない」 政策ごとに意思表示「イニシアチブ制度」へ元山さんら活動、超党派議連も


「原発や基地・・・個別の政策を信任したつもりはない」 政策ごとに意思表示「イニシアチブ制度」へ元山さんら活動、超党派議連も 国民発議制度導入に向け市民らが話し合った勉強会=16日、東京都の文京シビックセンター
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【東京】選挙で1票を投じたけれど、米軍基地や原発などの政策を信任したつもりはない―。そんな個別の政策テーマごとに異なる声を政治に反映させようと、「イニシアチブ(国民発議)」制度導入に向けた動きが始まっている。県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(31)らが共同代表を務める「INIT(国民発議プロジェクト)」(東京)が取り組み、呼応して国会で超党派の議員連盟も発足する見通しだ。

 国民の意思を反映する場は選挙だけで不十分。選挙では支持したが、この政策はやってほしくない。そんな主権者の意に反する政策に関して、国民から政府や議会へ発案したり、拒否したりできるのが国民発議制度だ。人を選ぶ選挙に対して、国民発議は税金や子育て支援などの政策テーマごとに意思を示すことができる。

 例えば「税金を下げてほしい」と考えている場合、まず賛同(請求)者の署名を規定数集める。集まれば、国会審議の議題となり、さらに国民投票で賛否を決める場合もある。INITでは、そんな国民発議手続きの立法化を目指している。

 同様の制度はスイスやイタリア、台湾などで制度化され、原発の新設禁止や死刑制度の廃止などで事例がある。元山さんは「米軍基地の問題、特に制度化が間に合うか分からないが辺野古の新基地建設、それに日米地位協定、過重な基地負担の問題などで活用できれば」と見据える。基地問題に関して手段は尽きることなく、次の一手を示す。

 国内では同様の住民発議を条例化した地方自治体がある。規定の請求署名数が集まれば、議会や首長が住民投票の実施を拒めない「実施必至型」の住民投票条例について、千葉県我孫子市や大阪府岸和田市などが制定しているという。

 元山さんは「沖縄県内でもまずは『実施必至型』の条例を実現できればと思う。新基地反対の自治体議員有志の会も新たに発足し、議員を通じて有権者にもアプローチしたい」と強調した。

 国民発議制度の導入に向けた勉強会が14日、衆院第2議員会館であり、自民党の船田元衆院議員や立憲民主党の杉尾秀哉参院議員らも出席した。席上、市民らは制度導入に向け超党派の議員連盟の発足を要望し、議員らも賛同する意思を示した。

 16日には都内の文京シビックセンターでも市民向け勉強会があり、約20人が参加した。制度の導入に向けた機運をどう起こすか議論した。制度の周知を図るため、インターネット上で活躍するユーチューバーやインフルエンサーらにもアプローチするなどの意見があった。元山さんは「長期的には10年を視野に入れているが、早ければ2~3年のうちに制度導入ができればと考えている」と話した。

(斎藤学)