「この足で歩き出していこう」。アコースティックギターを手に、力強くもはかない歌声を響かせる女子高校生がいる。8月に茨城県で開催された「全国高校生アマチュアバンド選手権」で、頂点に輝いた高知市の太平洋学園高3年長崎友香さん(17)。イベントで歌を披露すると、人は足を止め「この子は何者?」と熱心に検索を始める。
長崎さんがギターを本格的に手にしたのは、中学2年の時。いじめを受けて不登校となり、昼夜逆転の生活を送る中で、バンドマンだった父が使っていたギターを見つけた。それまでは聴いて楽しんでいた音楽を、自分で奏でるようになった。
家に引きこもり、シンガー・ソングライターのあいみょんの「生きていたんだよな」を何度も繰り返し聴いた。「死」についてつづられた歌詞。親からは「死なないでよ」と心配された。「私はあの曲に救われていた。言葉では表現できない支えられるものがある」と振り返る。将来のことは考えられなかったが、軽音コースのある太平洋学園高に母の勧めで進学した。高2の冬からはソロ活動に挑戦し、楽曲制作にも取り組む。「ストーリーを思い浮かべながら曲を作る」といい、不登校時に1日3~4本見ていた映画や、高校入学後にのめり込んだ小説や漫画が発想の原点だ。
茨城県で開催された全国高校生アマチュアバンド選手権は今年で20回目。予選を勝ち抜いた11地区の代表の中から、ソロで初めてとなるグランプリを受賞した。優勝特典として、千葉市で開かれた「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」でも曲を披露した。
「あいみょんのような歌手になりたい」。応援してくれる妹がシールを貼ったピックと、父のギターを手に、大きな舞台で自分の思いを届ける日を夢見て歌い続ける。
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高知の高校生、バンド全国頂点 不登校 音楽に救われ 夢追う「あいみょんのように」
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琉球新報朝刊
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