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<ひと>熱海富士朔太郎さん ほのぼのキャラ「サクちゃん」


<ひと>熱海富士朔太郎さん ほのぼのキャラ「サクちゃん」 大相撲秋場所で初の三賞となる敢闘賞を受賞した熱海富士朔太郎さん(代表撮影)
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 2000年代生まれで初の優勝は逃したが、21歳のホープが新風を吹かせた。優勝決定戦で敗れると涙。「悔しかったので。泣いてはいない」と強がった。三賞初受賞となる敢闘賞を獲得した。
 幼い頃は柔道で活躍し、小学6年で相撲も始めた。中学3年まで4年間指導した静岡県の三島相撲クラブの杉山信二さん(60)は「普通の子よりも頭一つ分は大きかった。プロ向きだと思っていた」と述懐。沼津市の飛龍高に進学後、数カ月間は自宅に下宿させた。
 母子家庭の家計を助けるため、杉山さんが営む飲食店で皿洗いのアルバイトもした。相撲部の練習から帰り、仕事前に疲れて居眠りしてしまうこともあった。焼き肉や唐揚げをおかずに3~4合のごはんと、みそ汁代わりの大盛りラーメンを平らげる大食漢で、高校入学時に約140キロの体はみるみる大きくなった。
 勝利して花道を引き揚げる際の喜びあふれる笑顔が、ファンの間で「かわいい」と評判だ。「それがきっかけで、自分の相撲を見てくれるのであれば、とてもうれしいこと」とまんざらでもない様子。周囲をほのぼのとさせるキャラクターが人気の要因になっている。
 21年7月に土石流災害が発生した故郷の熱海市には「一番でも多くいい相撲を取って、元気を届けられたらいい」と強い思い入れを抱き、しこ名にも地名を背負う。本名武井朔太郎。下の名前は詩人の萩原朔太郎から取った。愛称「サクちゃん」はテレビゲームで気分転換をしている。186センチ、181キロ。