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<ひと>運動会の秋実施を提唱する気候変動研究者の 竹村俊彦さん 命を守ることが使命


<ひと>運動会の秋実施を提唱する気候変動研究者の 竹村俊彦さん 命を守ることが使命 運動会の秋実施を提唱する気候変動研究者の竹村俊彦さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 学校での運動会を9月中旬~10月下旬の「秋実施」に切り替えるよう、テレビなど各種メディアで訴え続けている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書の主執筆者の1人でもある気候変動研究者だ。九州大の主幹教授も務める。
 残暑の厳しい9月を避け、5~6月に運動会や体育祭を実施する学校が増えているが、専門的見地からはシーズンの5~6月は地球温暖化の進展で熱中症リスクが急激に高まっている。「温暖化の進行で、梅雨前も適した時期ではなくなってきた」と話す。
 小学生で星空に魅了され、天文学を学ぼうと東北大理学部を選んだ。しかし「新しいことができるのでは」と、温暖化研究が始まりつつあった気象学の研究者を目指そうと切り替え、東大大学院に進んだ。
 在学中だった1997年、化石燃料から排出される大気汚染物質「PM2・5」など浮遊粒子状物質の大気中の動きを、気象データと重ね合わせて地球規模で計算する数値モデル「SPRINTARS」を開発した。
 数値モデルを活用してPM2・5と黄砂の飛来予測サイトを制作し、07年に公開。多い日は10万人以上がアクセスする。収益はないが「知見を広く共有したい」と話す。
 気候変動から人々の命を守ることを使命とし、啓発を続ける。「恒例行事の時期を変える必要があるほど進行している」
 中学生の頃から愛用する望遠鏡で星空観察するのが息抜きの49歳。三重県四日市市出身。