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有害投稿 AIで監視 「闇バイト」募集も対象に 警察庁、きょうから


有害投稿 AIで監視 「闇バイト」募集も対象に 警察庁、きょうから 監視・削除要請の流れ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 各地で強盗や特殊詐欺の被害が相次ぐ中、警察庁は29日から、交流サイト(SNS)上にある犯罪との関連が疑われる有害投稿の監視に、人工知能(AI)を活用する。監視・削除要請する対象も同時に拡大。「闇バイト」「高収入」など高額報酬を示唆する表現と、「受け子」「運び屋」など実行役を募る文言の両方が書かれた投稿にも目を光らせる。
 AIは、警察庁が監視業務を委託する民間団体「サイバーパトロールセンター」(CPC)に導入する。自然言語処理と呼ばれる技術が使われ、特定キーワードのみに着目するのではなく、前後の文脈も踏まえ、有害情報に該当する可能性のある投稿を抽出できる。当面はX(旧ツイッター)と、ユーチューブの動画紹介欄やコメント欄への書き込みを対象とする。
 CPCは集めた情報を別の民間団体「インターネット・ホットラインセンター」(IHC)に通報。IHCが違法・有害と判断すれば、サイト管理者やプロバイダー(接続業者)などに削除を依頼する。強制力はない。
 警察庁は、昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件や「闇バイト」問題の深刻化を受け、2月に監視・削除要請する対象を拡大。従来は薬物取引や児童ポルノ、自殺を誘う書き込みなどが対象だったが、生命に危害が及ぶ恐れが高い犯罪に関連する7類型を加えていた。警察庁によると、2~6月に148件の投稿を有害情報と判断して削除を要請し、7月末までに77件が削除された。ほとんどが「殺人・強盗などの勧誘」に関する投稿だった。要請した投稿の約8割は、CPCからの通報が端緒だった。

 インターネット・ホットラインセンター ネット上の違法・有害情報の通報を受け付ける民間団体。2006年設立。警察庁が業務を委託している。ネットユーザーや「サイバーパトロールセンター」からの通報を受け違法の疑いがあるものは警察に連絡する。サイト管理者などに削除を要請するが強制力はない。安倍晋三元首相銃撃事件では被告がネット情報を基に銃や火薬を自作したと説明。広域強盗事件では実行役が「闇バイト」としてネット上で募集された実態が判明している。