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識者談話 田代 美江子氏 (埼玉大教授) 幼少期からの学び必要


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 子どもを性被害から守る方法で「性教育」が「厳罰化」に5ポイント差で拮抗(きっこう)し、学校で性交を教えることを事実上抑止してきた「歯止め規定」を「なくすべきだ」と答えた人が88%に上ったのは注目すべき結果だ。日本では一部の政治家などに性教育への反発が根強いが、性交を教えずに避妊や性感染症予防を教えるという現状への問題意識や、性教育が子どもの安全に直結するという認識が、社会全体で共有されてきたと評価できる。
 「包括的性教育」についても、日本での知名度はまだまだだが、急速に高まるジェンダー平等への意識が、導入支持の64%につながったとみられる。一方、性教育の開始年齢で「小学校高学年」「中学生」が多数派だったのは、多くの人にとって性教育が、いまだに月経や射精、思春期の心身の変化といった限定的なイメージにとどまっていることを示唆する。
 幼少期から性について当たり前に学ぶことが、性をポジティブに捉える基盤となり、性被害を防ぎ、対抗できる力になる。インターネットを通じた性的トラブルも相次ぐなか、性についての科学的な知識はもちろん、ジェンダー平等や多様性に基づく人間関係の学習まで包括する、幅広い性教育が一層求められている。
 (ジェンダー教育学)