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トランスジェンダーとして 講演活動する弁護士の 仲岡なか おか しゅんさん 悩む若者たちの希望に


トランスジェンダーとして 講演活動する弁護士の 仲岡なか おか しゅんさん 悩む若者たちの希望に トランスジェンダー当事者として講演活動する弁護士の仲岡しゅんさん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 男性に生まれ、現在は女性弁護士として働くトランスジェンダー。司法の場でLGBTなど性的少数者の権利問題に取り組む。近年は講演会の講師として招かれ、当事者の現状などを話す機会も増えた。
 「私への差別発言、失礼な質問も大歓迎です!」。講演の冒頭は必ずそう呼びかける。普段は聞きづらい疑問もぶつけてもらい、等身大の当事者を知ってもらいたいという覚悟の表れだ。
 小学生までは「いつか女性と結婚するのかな」と思っていた。成長とともに自分の体や、女性を恋愛対象に見られないことにモヤモヤした思いを抱えるようになった。
 司法試験に備えていた頃、知り合ったトランスジェンダーの女性から「あなたもほんまはそうじゃない?」と指摘され、はっとした。自分でもうすうす感づいていた。目をそらしてきたのは、周りと違うことを許さない社会ゆえにだったが、本来の姿に焦点が合うともう偽れなかった。
 それから10年以上が過ぎたが、いまだ偏見は渦巻く。交流サイト(SNS)などで攻撃対象にされることも多く、最近では自身への誹謗(ひぼう)中傷に対して提訴。殺害を予告する脅迫を受けもした。「特別扱いは求めない。血の通った人間だと知ってほしい」
 もどかしさが募る中、昔の自分のように悩む次代の子どもたちにも心を寄せる。講演会などで出会う若い当事者が未来に希望を持てるよう、「こうして堂々と生きているよと胸を張り続けたい」。大阪府出身の38歳。