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奈良のシカ 虐待か 獣医師通報 「愛護会」施設で


奈良のシカ 虐待か 獣医師通報 「愛護会」施設で 愛護会の保護施設「鹿苑」の特別柵に収容されているシカ=9月、奈良市(獣医師の丸子理恵さん提供)
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 奈良県と奈良市は2日、奈良公園周辺の山間部に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」の保護に取り組む「奈良の鹿愛護会」の施設で、十分な餌を与えないといった虐待がされているとの通報が、同会の獣医師からあったと発表した。
 愛護会は「虐待はない」と反論している。県と市はそれぞれ調査し、虐待の事実が認められれば、管理許可の取り消しや指導、勧告なども検討する。
 愛護会の保護施設「鹿苑(ろくえん)」(奈良市)では、農作物に被害を与えたシカなど約240頭を「特別柵」と呼ばれるエリアに収容。通報した獣医師の丸子理恵さんは、骨が浮き出たり、脱毛したりしているシカがいると指摘し、十分な量や質の餌が与えられず、飼育環境も劣悪だと訴えている。柵内で年間50頭以上のシカが死んでいるという。
 愛護会は「餌は十分に与えているが、柵内の生活になじめずストレスを抱え衰弱してしまう。脱毛もシカ同士の体がこすれることや(毛が生えかわる)換毛期の影響などもある」と説明した。
愛護会の保護施設「鹿苑」の特別柵に収容されているシカ=9月、奈良市(獣医師の丸子理恵さん提供)