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水俣病訴訟、チッソ控訴 地裁全128人認定に不服


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2009年に施行された水俣病特別措置法に基づく救済策から漏れた128人全員を水俣病と認め、国や熊本県、原因企業チッソに賠償を命じた大阪地裁判決を不服として、被告のチッソは5日までに大阪高裁に控訴した。4日付。
 国や熊本県も控訴するかどうか検討している。控訴期限は11日。同様の訴訟は東京、新潟、熊本の各地裁でも係争中で原告数は全国で1700人を超える。原告側は被害者の早期救済を訴え、控訴を断念するよう求めていた。
 大阪訴訟の弁護団は「高齢化で一刻の猶予もないことを無視した非人道的な控訴だ」とする声明を発表。徳井義幸団長も「許しがたく、断固抗議したい」と批判した。
 チッソの担当者は取材に「現時点でお答えは差し控える」とした。
 大阪地裁判決は特措法の対象の地域や年代から外れた人でも、メチル水銀に汚染された魚介類を多食すれば発症する可能性があると指摘。水銀暴露から長期間経過した後に発症する遅発性水俣病の存在を認めた。
 被告側は、国の水俣病認定基準を満たしておらず、発症するほどの水銀暴露はなかったと主張していた。