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歌手の李さん「歌で平和な世界祈る」 15日、渡嘉敷でアリラン慰霊祭に協力 慰安婦・朝鮮人軍夫、語り継ぐ 14日に宜野湾でコンサートも


歌手の李さん「歌で平和な世界祈る」 15日、渡嘉敷でアリラン慰霊祭に協力 慰安婦・朝鮮人軍夫、語り継ぐ 14日に宜野湾でコンサートも 14日に宜野湾市の佐喜眞美術館でコンサートを開く李政美さん。「沖縄戦の図」の前で祈りの歌を歌う(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 岩崎 みどり

 戦争中に朝鮮半島から連行された慰安婦や軍夫を追悼し語り継ごうと、渡嘉敷村の「アリラン慰霊のモニュメント」で15日、慰霊祭が行われる。「同モニュメントをつくる会」が主催。現地開催は7年ぶりだ。14日には、慰霊祭に協力する歌手の李政美(イヂョンミ)さん(65)=東京都在住=のコンサートが宜野湾市の佐喜眞美術館で開かれる。李さんは「いつか丸木夫妻の『沖縄戦の図』の前で歌いたいと思っていた。私の歌が絵と響き合い、描かれた人々が動きだし、思いが放たれる瞬間をつくることができたら」と語った。

 モニュメントは1997年に制作された。慰霊祭は2013年から3年ごとに行われている。前回の19年は台風接近で渡嘉敷に渡航できず、那覇市内で行った。

 慰霊祭を準備する陶芸家で在日韓国人3世の伊集院真理子さん(74)=神奈川=はモニュメント制作者の一人だ。「戦時中に慰安婦たちがアリランを歌っていたと、島の高齢者たちから聞いた」と制作当時を振り返る。「慰霊祭を通して戦争の真実を語り継ぐ。同時に沖縄の現状をしっかりと見る機会にしたい」と話す。東京、愛知、大阪などから約40人が参加予定。コンサートや慰霊祭の他、読谷村のチビチリガマ、恨(ハン)之碑などを回る。

 李さんも毎回慰霊祭に参加し、歌をささげてきた。在日韓国人2世で、生まれ育った日本で感じる息苦しさを歌の原動力にしてきた。「歌は祈り。私の歌は子や孫の世代がどの民族や国籍であれ、どこに住んでいても幸せに生きられるようにという思いが根底にある。そのためには平和でなくてはいけない。平和な世界を祈る」と語る。

 コンサートには、韓国舞踊家の金順子(キムスンジャ)さんも出演する。李さんは「祈りの歌と舞のコンサート。慰霊と共に命を祝う場にしたい」と話し、多くの来場を呼び掛けた。コンサートは午後5時から。入館料込みで予約3千円、当日3500円。問い合わせは電話098(893)5737(佐喜眞美術館)。 (岩崎みどり)