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いじめ解消へ学校外関与 被害者相談や弁護費用補助 8自治体が先行事業


いじめ解消へ学校外関与 被害者相談や弁護費用補助 8自治体が先行事業 事業実施自治体の主ないじめ対策
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 いじめの被害者側が学校側に不信感を持っているケースなど、学校や教育委員会だけではいじめ解消が困難な事案に対処するため、こども家庭庁が本年度、学校外の立場から自治体も関与する体制づくりを進めている。8自治体が先行して事業参加し、首長部局が相談対応に当たったり、被害者側に弁護士費用を補助したりとそれぞれの方法を考案している。
 文部科学省の調査では、2022年度の小中高校などのいじめ認知件数は68万1948件で最多を更新。政府は昨年11月に関係府省連絡会議を設置し、対策を一体的に推進していく構えだ。学校や教委を通じた対策を文科省が実施し、こども庁は自治体の具体的な取り組みなどを後押しする。
 いじめを巡っては、被害を受けた生徒・保護者と学校側が対立した場合には関係をどう改善するか、別の相談先はあるかといった課題がある。背景に貧困などの家庭事情がある場合には福祉施策との連携が必要になる。
 こども庁によると、事業は、自治体の教委以外の部局がいじめの相談から解消まで関与することを想定。弁護士や社会福祉士などの専門職が対応に当たるなど、手法の開発や実証は自治体に委ねている。本年度に事業参加した自治体の有効な施策は今後、全国に広げていく方針だ。
 8自治体のうち大阪府箕面市は、市長部局に臨床心理士などで構成する「いじめ相談・解決室」を設立予定。保護者がいじめの相手方や教委と交渉する場合などに弁護士費用を補助する制度も創設する。同市総務部の担当者は「相談先は教委以外にもあると周知し、いじめの早期解決を図りたい」と話す。
 熊本市では来年1月、こども局内に新組織「こどもの権利サポートセンター」を開設し、子ども食堂など地域の支援組織と連携した相談体制を整備。体罰なども含め重大事案は市長に報告する。担当者は「子どもに寄り添った対応ができる専門人材の確保が今後の課題だ」としている。