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手術要件「合憲」を要請 当事者団体、性別変更巡り


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 心と体の性が一致しない性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術を要件とする特例法の規定の必要性を訴える当事者団体が17日、規定の憲法適合性に関して近く控える最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)の決定に当たり、「合憲」との判断を求める要請書を最高裁や法務省に提出した。
 団体は「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」。要請書では「手術要件を外せば女性スペースで女性らが不安と恐怖に陥る」と指摘した。今月11日に手術要件を違憲とした静岡家裁浜松支部の判断については、6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法の趣旨を誤解、歪曲(わいきょく)していると批判した。
 連絡会に所属し、手術を経て男性から女性に性別変更した美山みどりさん(61)は「手術要件はむしろ私たちの立場を守ってくれる大切なルールだ。司法が現実を見ず、一方的な判断で覆してはならない」と話した。
 手術要件を巡る賛否は分かれており、家族法に詳しい早稲田大の棚村政行教授は取材に「トイレや銭湯などの施設利用は一定の配慮が必要だが、そのことと性自認に従って生きる人の人格的利益をてんびんにかけてはならない。多様性を尊重する社会に向け、対立ではなく協力し合うことが大切だ」と話した。