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障がい者ホーム点検制度導入 専門家、住民らが訪問 食費過大徴収、虐待問題受け


障がい者ホーム点検制度導入 専門家、住民らが訪問 食費過大徴収、虐待問題受け 障害者グループホーム点検制度のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省は、知的・精神障害者らが支援を受けながら少人数で共同生活するグループホームの運営状況に関し、福祉の専門家や地域住民らが訪問し、点検する制度を導入する方針を固めた。関係者への取材で20日、分かった。不適切な支援や虐待が一部のホームで問題となり、運営大手「恵」(本社・東京)による食材費の過大徴収も判明。外部からのチェックで運営の透明性を高める必要があると判断した。
 職員配置や設備の基準を定めた厚労省令を2024年度中に改正し、早期の義務化を目指す。準備に時間がかかる場合は一定の猶予期間を設けることも検討する。
 関係者によると、グループホームの運営事業所が福祉の専門家や地域住民、入居者の家族らによる会議を設置。ホームを訪問するなどして入居者に対する職員の接し方や居住環境を確認したり、運営改善の助言をしたりする。訪問や会議の開催はそれぞれ年1回以上とする案がある。現在は行政が3年に1回程度、ホームを訪れて運営状況を調査している。
 障害者向けグループホームの事業所数は今年6月時点で約1万2千カ所、利用者数は約17万人。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会は昨年6月、障害者支援の実績や経験が乏しい法人の参入が相次ぎ、知的障害がある人に命令口調で話しかけるなど、障害の程度や特性を踏まえない支援を行っているホームが増えているとして、外部点検を手厚くする必要があると提言していた。
 障害者向けグループホーム 精神障害者や知的障害者らが、家庭的な雰囲気の中で支援を受けながら、少人数で共同生活する場所。運営側は利用者のニーズを踏まえ、食事や入浴といった生活上の援助を行う。地域での暮らしを希望するものの、一定の介助が必要な人らが利用し、入居定員は原則10人以下。利用者は今年6月時点で約17万人。