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アレルギー患者の両立支援 治療と仕事、計画作成 厚労省 病院にコーディネーター


アレルギー患者の両立支援 治療と仕事、計画作成 厚労省 病院にコーディネーター
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 アレルギー疾患の患者が通院や、症状に影響する業務内容によって離職などを余儀なくされることがないよう、厚生労働省は今夏から、治療と仕事の両立支援コーディネーターを病院に配置するモデル事業を始めた。治療や生活、勤務の状況に応じた両立計画を作成し、疾患のため思うように働けなかったり、仕事で病院に行けず症状を悪化させたりする人を減らす。

 厚労省の患者調査によると、アトピー性皮膚炎の患者数は1996年の31万8千人から2017年は51万3千人に増加。アレルギー性鼻炎は43万8千人から65万8千人に増えた。生活環境の変化などが背景にあるとされる。

 今年1、2月の調査では、アレルギー疾患について「医師に診断されている」「診断されていないがそう思う」と答えた人が63%に上った。疾患別では花粉症41・4%、アレルギー性鼻炎31・2%の順で多かった。

 モデル事業は、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院7施設で実施。医療ソーシャルワーカーや社会保険労務士らがコーディネーターを担う。

 勤務状況などから患者と課題を整理し、主治医らと両立支援プランを作成。勤務先の事業者と面談するなどして、必要なら柔軟な働き方や、担当・部署の変更も提案する。子どもがアレルギー治療をしている人も支援する。

 厚労省研究班が21年にまとめた両立支援に関する手引は、具体的な支援想定を記載。アトピー性皮膚炎の人が汗をかきにくいよう室温を配慮した、外勤の多かった人がアレルギー性鼻炎に影響する成分を含む商品の製造部門に異動してから体調が悪化したため再び配置転換をした、などの例を挙げた。

 患者や家族に関する別の調査では、アトピー性皮膚炎で仕事の量や内容が制限された経験があるかとの問いで「いつもある」「よくある」「ときどきある」との回答が計34・8%だった。気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎でも仕事に影響があるとの答えが見られた。


<用語>アレルギー疾患

 体内に入ったウイルスや細菌などの異物を排除する免疫が過剰に反応することで症状が引き起こされる病気。アレルギー疾患対策基本法が現在、対象としている疾患は気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーの六つ。治療は薬物療法のほか、原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体に投与し反応を緩和させていく免疫療法などがある。

(共同通信)