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<2023年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>2 花と緑でつながる輪 中学・高校生の部銀賞 鉢嶺月映(美里中1年)


<2023年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>2 花と緑でつながる輪 中学・高校生の部銀賞 鉢嶺月映(美里中1年) 鉢嶺月映
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 今年の台風の被害はとても大きくて、お花が大好きなおばあちゃんのお庭も荒れ果てていました。木は根から横倒れ、根がむき出しになり、木は丸裸になりとても痛々しい姿でした。お花は全て枯れ、台風が来る前の庭とは思えないくらいの様子になってしまいました。

 そこで、おばあちゃんの庭を夏休みのうちに大改造しようと決意しました。ギラギラと輝く太陽の下での作業は想像以上に過酷で、額からはポタポタと汗が流れ落ちるほどでした。でも、おばあちゃんと会話を弾ませながら作業する大改造は暑い日差しも忘れるほど、日が暮れるのが早くあっというまに一日を終えていました。「明日はここから始めよう」と話したり、「この木をもっと低くして太陽の光が入るようにしよう」など会話をしているうちに庭づくりのアイデアがあふれてきて、次回の楽しみが増える一方でした。

 気がつくと、何日かたっていてお庭も少しずつよみがえっていき、生き物たちも、顔をのぞかせるようになりました。キノボリトカゲが楽しそうに木を登ったり、チョウチョが寄ってくるほど庭がちゃくちゃくとおばあちゃんの庭らしくなっていき、おばあちゃんの庭をながめる横顔はうれしそうでした。

 よく見ると、丸裸だった木の枝からは新芽が出てきて太陽の光が当たると緑のシャワーを浴びているようでとても心がいやされました。お花もつぼみが出てきて、木といっしょに成長していくのを話しているだけでも会話がふくらみ、近所の人も立ち止まるようなお庭になって見違えるほどでした。夜は昼間とはまた変わった雰囲気ですずしく、夜の虫たちが合唱をしているようでした。そんなおばあちゃんのお庭は、気づけば人や虫たちが集まるほどにぎやかなお庭で、一日がとても楽しくすごせるような空間でした。台風の被害がきっかけで、お庭も周りの人も雰囲気も変えることができてお庭も気持ちも明るくなった気がして楽しく、やりがいがありました。

 私は、花と緑があるだけでこんなにも人の気持ちや様子を変えることができることを知り、花や緑は何か目には見えない力を持っているのかもしれないと感じました。街を歩いたりしたら歩道のすみに花が植えられているのも、周りを通った人が何かを感じるためにあるのかもしれないと思いました。

 今、自然環境が問題となっている中で、森林減少などという言葉を聞くと、人が生きていく中で植物はとても大切な存在でなくてはならないパートナーなのかもしれないと今回の庭の大改造で花と緑たちが教えてくれたのかもしれないと思えるように感じました。

 私は、花や緑など植物があるから虫たちが寄ってくるのではなく、その周りの環境を整えることで虫や生き物たちが寄ってくるのかもしれないと感じました。これは、虫や生き物だけではなく人もいっしょだと私は思います。人も虫や生き物たちといっしょで周りの環境がよかったり、明るい人、いっしょにいて楽しい人が好まれるのというのは、花からみつをすうチョウのように元気がもらえるからだと私はそう思いました。

 私はこの夏休み、おばあちゃんのお庭の大改造をし、この作文を通して花や緑は人にとってなくてはならないものだとあらためて知ることができました。