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<2023年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>3 メンソーレ! ちゅら島沖縄へ 一般の部金賞 宮城須美子(那覇市、84歳)


<2023年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>3 メンソーレ! ちゅら島沖縄へ 一般の部金賞 宮城須美子(那覇市、84歳) 宮城須美子
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 カリフォルニア在住の娘との電話での会話である。「部屋の整理整頓が悪いとアジアンハウスと言われる。ゴミ箱を置くのさえ気を遣う。応接室、台所、トイレに一個ずつ目立たないように置いてある。日本では便利に使える所に置く。こっちでは、便利さより美しさである。室内だけでなく、屋外にも美観を求める。道路沿いの花木は、国、州の管理下にあり、スプリンクラーで散水、草刈り、剪定(せんてい)もする。地域住民もボランティア活動をする。週末にはジャケットを着て活動する映画スターもいる。屋敷内に何パーセントかの緑を持つ規則があり芝生が植えられ、各家庭の庭にもスプリンクラーが備え付けられている。美しさは文化のバロメーターである」と娘は語る。

 サンディエゴ空港から娘の家路への景観は今も心に残る。道路沿いのジャカランタ並木のブルーの花が、紺碧(こんぺき)の空をかざして咲き誇る。木の周囲にはアガパンサスの花が仲良く寄り添って咲いている。ポイ捨て、雑草もない。爽やかな感動は今も心を揺さぶる。ドイツでは、庭の芝生の手入れや庭の花の手入れが悪いと、隣人からおりを受けたり、行政からも指導が来ると言う。ハワイは島全体が観光地である。

 ところでわが沖縄に目を向けてみた。住宅が立ち並ぶ道沿いを散歩していると築4年にしかならない家の前の通りや庭には雑草が伸びている。とがめる人もいない。やる人もいない。沖縄は日本三大観光地! 紺碧の空、群青の海を求めて多くの観光客が訪れる。ところが県道や国道は雑草が生い茂る。わした沖縄が美しい花と緑に心が癒やされる竜宮城であってほしい。

 ウチナンチュにはユイマールの心がある。私は、8年前に婦人会として「花通り会」を立ち上げた。毎月第3日曜日に繁多川婦人会、有志に呼びかけバス路線約1キロの清掃、植栽、給水等の美化ボランティア活動を実施している。花通りの街路樹のグリエにはランタナ、サンダンカ、日々草の花が咲く。見上げると熟年会や繁友会のボランティア団体が咲かせたクチナシの花が咲き誇り、木の幹にはラン、ハイビスカスの花も芳醇(ほうじゅん)な香りを醸している。地域の人たちだけでなく、地域外の人たちも「きれいだね、癒やされるね」とにっこり声をかけてくれる。

 沖縄は本土とは気候が異なる。亜熱帯特有の植物が観光の魅力である。ビロウ、トックリヤシ、アレカヤシ、千年木、ハイビスカス、月桃、ブーゲンビリア、ゴールデンシャワー、ホウオウボク、旅人の木、クロトン、オーガスタ等がある。亜熱帯植物が道路沿いや施設、家庭の庭でも見られる環境。街路樹にランやアラマンダが絡み花を咲かせてくれる光景。街路樹のグリエに雑草がない周年開花のランタナ、サンダンカが咲くなど、沖縄ならではの風景に観光客の琴線をヒートアップさせたい。行政は観光沖縄を目指しPlan(計画)、Do(実行)、See(評価し褒める)を実行して組織的活動を推し進めてほしい。

 那覇市には「道路ボランティア」のユイマール市民団体がある。市管理の道路において花木の植え付け、管理、除草、剪定、散水等が主活動である。コロナ以前は企業や自治会等100余の団体が協定を結んで市の美化に努めていた。コロナ禍で活動は絶えた。1日でも早い市民が一致協力する道路ボランティア活動の活性化、継続を渇望したい。「沖縄は、海も空も、花も、道路も、うまんちゅの心もすてきだね!」とリピーターが増える沖縄観光に、繁多川花通り会も一層の協力をしたい。「メンソーレ! ちゅら島沖縄へ(いらっしゃいませ、美島沖縄へ)」