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<2023年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>4 一般の部銀賞 金城實秋(八重瀬町、71歳) 高齢者に優しい緑化推進


<2023年度植木光教基金・琉球みどりの文化賞>4 一般の部銀賞 金城實秋(八重瀬町、71歳) 高齢者に優しい緑化推進 金城實秋
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1、はじめに

 街に人に潤いと安らぎを与える花と緑はよく聞こえるが、その裏には管理する人の苦労と努力がある。毎日の枯れ葉とり、伸びた枝の剪定(せんてい)、倒木の切断とかたづけは労力と体力がかかる。高齢者の住む家は草刈りとこれらの作業が重荷となって緑地がブロック塀とセメント張りに変わる。その半面、夏の太陽の灼熱(しゃくねつ)は放射熱で残り、熱中症の原因となる。長寿県であった沖縄、昔は高齢者がガジュマルの木の下で夕涼みしながらゆんたくしていた光景を思い出す。沖縄は亜熱帯性気候で暑さと湿気、台風対策、樹木の害虫防除、草刈り、樹木の剪定など沖縄独自の対策が必要である。

2、現状の課題と対策

 沖縄は冬季以外は周年25度以上の気温と高い湿気がある。このため樹木と雑草は成長が早く剪定と草刈り回数が多い。特に成長の速い樹木は台風で折れやすく、電線の切断、建物の破損につながる。このため台風前に剪定を行う。また歩道に伸びた雑草は交通事故や事件の原因になる。草刈りは成長の速い梅雨明けと秋口に行い、回数を減らして効率的に行う。庭の雑草防除はグリーンカバーで対策する。雑草が伸び放題になった高齢者の庭や歩道は、自治会や近隣住民に協力を依頼する。モモタマナは夏は葉が茂り、照りつける太陽光線を遮り、冬は落葉してやわらかい太陽の光を浴びさせてくれる。クルチは三線のさお、盆栽に使われるが台風被害が少なく、堅くて折れにくく剪定も少ない。これらの樹木は沖縄に最適で、もっと活用すべきである。沖縄は温暖な気候で国外県外からの侵入害虫も多い。マツのセンチュウ、ホウオウボクとチャーギのシャクトリムシ類、アカギのヨコバイ科、デイゴの葉コブ形成のデイゴヒメコバチなどがいる。被害木には沖縄の文化財的価値の樹木もあり、公的な防除対策が望まれる。

3、実践活動(報告)

 私は庭に植物を植え、次の目的で楽しんでいる。最近は高齢になって以前は一日で終えた管理作業が三日もかかる。脚立に上っての作業はひやひやである。

 (1)垣根の剪定を楽しむ

 庭の周囲はブロック三段積み。その上はタイワンレンギョ、ゲッキツを伸ばし、一カ月に一回剪定している。ウオーキングの人も楽しそうにあいさつして通る。

 (2)雑草対策はグリーンカバーで

 草刈り機使用は雑草の伸びる梅雨明けと秋口に2回行う。球根で増えるムラサキカタバミ、ハマスゲ類は手作業で抜き取る。庭は駐車場を兼ねグリーンカバー(芝とイワダレソウ)を這わせている。

 (3)四季の花を観賞

 庭はリレー開花で四季に咲く花木を植えている。四季に咲く花は季節の移り変わりが見えて感慨深い。春はオオコチョウ、カエンボク、夏はベニデマリ、秋はバラ、スイフヨウ、冬はツワブキ、ツバキが咲く。

 (4)香りを楽しむ

 夏の夜、庭から匂ってくる強い香りは夜香木で、枕元に一房おくと安眠に浸れる。昼間に咲き香りを放つ樹木はマツリカ等である。

 (5)秋の味覚を味わう

 果樹はミカン類、ピタンガ、ビワ等である。ミカン類の害虫マダラカミキリは4~5月に飛来して樹木を枯らす。成虫は木をゆすって落とし駆除する。幼虫は幹をビニールで包んで成虫の産卵を防止する。ビワ、アセローラは熟するとすぐに野鳥(メジロ、ヒヨドリ)に食べられる。ピタンガは酸っぱく果実が赤くなるまで木に残る。これら果実は冷凍してアイスで食べミカン類は夏バテ防止でジュースで飲む。

 (6)島野菜の自給

 大葉ニガナ、長命草、ヨモギの在来野菜を栽培しみそ汁の食材としている。特に大葉ニガナはみじん切りにしてトーフとあえておいしい。

4、最後に

 緑化は戦後荒廃した郷土を復興させ、沖縄県民のすさんだ心を元気にしてきた。これからも沖縄の緑化を進めるに当たって気候、風土、病害虫と台風対策、樹木剪定等を踏まえて、多くなる高齢者にも身近な手軽にできる緑化推進を期待したい。

 (おわり)