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子ども転落防止、切実訴え 続発で消費者事故調 「補助錠」活用、検証も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小さな子どもが住宅の窓やベランダから転落する事故が多発し、消費者安全調査委員会(消費者事故調)が、再発防止を目指した切実な呼びかけをしている。消費者事故調の発表では、2022年10月~23年5月に4歳以下の子ども7人が転落とみられる事故で死亡。直近でも富山県で乳児が亡くなり、安全対策は喫緊の課題だ。子どもが一人で窓を開けないようにする「補助錠」の活用や有効性を検証する動きも始まっている。
 「事故が立て続けに起きていて座視できない」。6月、消費者事故調の中川丈久委員長は強い危機感をあらわにした。抜本的な対策を講じるとし、各地の事例を調査すると記者会見で公表した。
 これまでも各自治体では対策が取られてきた。東京都は18年に「子どものベランダからの転落事故に注意!」とするリーフレットを作成。手すりの高さや格子の隙間など気を付けるべきポイントをまとめ、周知啓発に努めてきた。ただ消費者事故調によると、18~22年に東京消防庁管内で転落して搬送された5歳以下は70人。そのうち2割以上が最初の診断時点では命に関わりかねない状況だった。
 事故防止には、子どもを一人にしないという方法もあるが限界がある。一人でいるときに窓を開けたり、ベランダに出たりしないようにする対策が必要で、通常の鍵のほかに、子どもが自力で窓を開けられないようにする「補助錠」を設置することも有効とされる。
 今年3月、マンションの7階から2歳の双子男児が転落死した名古屋市は、5月に有識者懇談会を始め、8月には0~5歳の子がいる約8万世帯を対象に、補助錠を1個ずつ無償配布する全国初の方針を示した。