過労死等防止対策推進シンポジウム(厚生労働省主催)が5日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた。東京過労死を考える家族の会の佐戸恵美子さん(74)は、過労死で娘を亡くした経験から「予期せぬうちに突然、人生が途切れた本人が一番無念だ。同じことを繰り返さないでほしい」と警鐘を鳴らした。
佐戸さんの娘・未和さん(享年31歳)は、NHKに勤務していた2013年7月に亡くなった。直前まで二つの選挙取材に奔走しており、パソコンなどを基に分かった残業時間は6月は188時間、7月は209時間だったという。
結婚を控えていた未和さんの将来が失われ、今も絶望と後悔から抜け出せない佐戸さん。「社員の健康を守るルールがあったにもかかわらず、会社側の労務管理の怠慢で時間外労働が放置された」と会社側の責任を指摘した。人員配置や仕事量の不均衡があったが、「過労死は会社の不祥事とは思ってない」と説明した上司の言葉が忘れられないという。
娘のことを風化させないために「若い人は睡眠時間を確保してほしい。親は過干渉は良くないけど、子どもの働く環境や人間関係を注視し、最後のとりでになってほしい」と呼びかけた。
沖縄労働局は、2022年の精神障害の労災補償請求が13年の約10倍になっている現状を報告し、各業界に時間外労働の削減や過労死防止策を周知していくなどと説明した。 (嘉陽拓也)
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過労死繰り返させないで 宜野湾でシンポ 遺族が警鐘
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琉球新報朝刊