【東京】1942年に山口県宇部市の長生炭鉱で発生した水没事故で、今も海底に残されたままの犠牲者183人の遺骨収集を目指す「長生炭鉱の『水非常』を歴史に刻む会」(井上洋子さんら共同代表)は8日、都内の衆院第1議員会館で国と意見交換会を開いた。
政府は遺骨発掘の実施は困難との考えを示しているが、意見交換会では技術面など含め、特に制約を設けず「話し合いは重ねていきたい」などと応じた。
42年2月に発生した長生炭鉱水没事故の犠牲者は136人が朝鮮半島出身者で、残り47人が日本人、うち沖縄出身者は5人。遺族の中にはDNA検体を採取して早期の遺骨の発掘、返還を待つ人もいる。
一方で政府は今月1日の福島瑞穂参院議員の質問主意書に答弁書を送付。答弁では海底に水没し遺骨の埋没位置、深度などが不明で現時点で「遺骨発掘を実施することは困難である」との考えを示していた。
韓国からの遺族も出席した、この日の意見交換会では政府側と遺骨の返還に向けて話し合いの継続を確認。外務省も「国内に所在する韓国の方々のご遺骨を早期に返還するということは重要との認識は、韓国側と共有している」との考えを示した。 (斎藤学)