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教員不足、解消遠く 掘り起こしにあの手この手 <沖縄この1年 2023>2


教員不足、解消遠く 掘り起こしにあの手この手 <沖縄この1年 2023>2 教員不足解消を目的に初開催されたペーパーティーチャーセミナー。150人以上の参加者に、県教育委員会が教職の魅力などを説明した=2月4日、那覇市の県立図書館
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 これまで見過ごされてきた教員不足の問題が顕在化した1年だった。県教育委員会の発表によると4月、教職員の未配置は23人だった。前年同期の未配置は64人で、一見すると改善傾向だが県独自の少人数学級編成を維持できなかった小中学校が36校あった。9月の未配置は80人、11月は104人でいずれも前年同期より減少しているが解消に至っていない。

 県教育委員会は今年1月、働き方改革推進課を4月に設置することをに決め、次々と対策を打ち出した。2月、深刻な教員不足の解消を目的にペーパーティーチャーセミナーを初めて開催した。その後も継続して開催し、7月には臨時的任用教員(臨任)募集説明会も初開催、人材の掘り起こしに力を入れた。セミナーや講習会の参加者から84人が臨任配置され、一定の効果がみられた。

 10月、県教委は教員免許取得予定の大学生らに臨時免許を与え、公立小中学校で非常勤講師任用すると発表した。県は「教師としての資質向上が目的」としたが、文部科学省から「教員免許制度の趣旨理解が不十分」「免許状の授与が要らない特別非常勤講師での任用が適切」と指摘を受け、方針を改めた。

 12月には採用試験で「秋選考」と「大学等推薦」を新設すると発表。「秋選考」は一定条件を満たせば筆記試験が不要。「大学等推薦」は1次試験の一部(一般教養・教職教養)が免除となる。「人材不足を補うためなら」と歓迎する声がある一方、「教師としての専門性が維持できない」と指摘する声もあり、公教育における教師の専門性維持と人材確保の両立が懸念されている。

(嘉数陽)